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    たまごやき@推し活

    アンぐだ♀と童話作家アンデルセンのこと考える推し活アカウント

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    POIPOI 162

    現パロアンぐだ♀、青年実験×ぐだちの身長差のお題

    2021.9

    ##FGO
    ##アンぐだ
    ##現パロ
    ##青年実験
    ##恋人

    身長差の恋のお題見上げれば足元不用心

     彼の背丈が高いから、並んで歩く時はいつも上の方を向いている。彼はまっすぐ前を向いて歩いているから、いつも目線は合わない。
     少しはこちらを気にしてほしいと、念じるように彼へ視線を送る。
    「段差に引っかかるぞ」
    「あっ……!」
     ほんの僅かな段差に足をもつれさせ、バランスを崩す。
     手慣れたように私を支える彼と、ようやく目線を合わせる。
    「ありがとう」
    「まったく、よそ見しているからこうなるんだ。少しは懲りたらどうだ? 無駄にすり傷を増やしたいのか? ……僕じゃなくて前を見て歩け」
    「もう、やっぱり私が見てるの気がついてたんだ!」
    「馬鹿め、僕はまだそこまで耄碌していない。あれだけ執拗な視線に気がつかないわけがないだろう」
    「つ、冷たい……!」
     見られていると分かっても無視を決め込む塩対応。せっかく二人きりなのだ、少しは甘やかしてくれないものか。
    「何が冷たい、だ。充分甘やかしているだろうが」
    「甘やかしてる!? どのへんが?」 
    「自覚がないのか。――今日僕の部屋に宿泊する人間のセリフとは思えないな」
     こちらを見下ろす視線に、彼の言う『甘やかす』の意図をそこはかとなく感じとる。
     外ではそっけないけれど、部屋の中なら?
    「…………知らないよ、そんなの」
     さっきまで必死に彼を見上げていたのに、意識するともう彼の方すら見られない。
     彼の方を見なくたって分かる、意地悪な笑顔。
     文句を言うこともできないまま、彼の住むマンションまでは後五分とかからない距離まで近づいていた。 

    ぶかぶかの上着は彼そのもの

     彼の部屋は今、洗濯物が干されている。まだ昼寝中の彼の横から抜け出し、確かめてみればどれも乾いている。いつも仕事で忙しい彼だ。これを畳んでおいたら、少しは楽になるだろうか?
     洗濯物からハンガーを外し、畳んで並べていく。彼のパーカーの袖と自分の腕を比べれば、子どもと大人くらいの差。私とは違う男の人の服だから当然だろう。でもそうしているうちについ、気になってしまう。――実際に着てみたら、どれくらい差があるんだろう?
     そっと彼の様子を伺うと、まだ夢の中。胸を高鳴らせながらこっそりパーカーを羽織る。
    (ふふ、ぶかぶかだなぁ)
     指先が少し出るだけの長い袖。ワンピースにもなりそうな丈の長さ。
     彼は線が細くて、身体が大きいイメージはなかった。けれどやっぱり服のサイズがこんなに違う。
    「……何だか抱きしめられてるみたい」
     彼の上着に身を包むとそんな風に思ってしまって、少し照れくさい。
    「人の服で何を遊んでいるんだ」
    「えっ、アンデルセン……!」
     いつの間にかすぐ後ろから覗き込むように見られていた。
    「自家発電の邪魔をしたようで悪いな」
    「もう、何言ってるの!」
     慌てて上着を脱ごうとすると、後ろから抱き留めるように止められる。
    「上着くらいで満足か? そこまで安上がりでもないだろう」
     腕の中に収まりながら、背中が暖かくなるのを感じる。上着よりもずっと欲しいものもお見通し。
     こうして暖かい昼下がり、彼に押し負けるように昼寝を再開することになったのだった。


    大きな荷物が歩いてきたら

     彼が何個も積み重ねたダンボールを運んでいる。見えるのはダンボールと長い脚だけ。大きな荷物が歩いているみたい。
    「確かこのあたりに入っていたはずなんだが」
     彼は寝袋を探しているらしい。寝具の予備に期待するな、と泊りがけの前に散々念を押されたのを思い出す。実際に来てみれば、寝袋が見つかるまで床の上で待機させられている。
    (期待するな、って言ったくせに……!)
     念を押された私のトキメキを返してほしい。
    「しまい込んだ物など当てにならないな。……仕方ない、ベッドは君が好きなように使いなさい」
    「えっ」
     さらには寝室を半分に区切るように積まれた山のようなダンボールのバリケード。
    「僕はこちらで適当に寝る。敷居は越えるなよ」
     毛布を被ってこちらなんか見向きもせず、彼はバリケードの向こう側。
     思い切ってそよバリケードを破るように突貫して、毛布の上に手を乗せる。
    「話を聞いていたか? 敷居を越えるなと言ったばかりだぞ」
    「だって、自分だけベッドでなんて寝づらいよ」
    「仕方ないだろう。仮にも客を床に捨て置くわけにも……」
    「私は」
     手を固く握り込む。手汗で滑るような感覚。
    「予備の布団がないから、一緒に寝ようって言われたのかと思ってた」
     そっぽを向いていた彼が勢いよくこちらへ向くのが分かっても、視線を合わせる度胸はない。
     時計の針の音だけが、部屋中に響いていた。



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