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    「ゆるぼレオイデWEBオンリーな件」
    # ゆるレデのお題 用に書き下ろしたお風呂にまつわるレオイデSS展示です

    【追記】
    鍵を外しました!
    感想、スタンプを下さった方ありがとうございました~!

    風呂で在るか否かS.T.Y.Xでは、全自動の入浴マシンが実装されている。それは、忙しい研究の合間でも、体は気持ち悪いが、どうしても風呂に入る気力がないときの力強い味方である。
    強制的にブラシで洗われ、最初は戸惑うものも多いが徹底的に隅から隅まで綺麗に洗浄、口の中までクリーンな状態に。それのおかげで、イデアのユニークなギザギザとした洗いにくい歯でもこれまで虫歯しらずの毎日を過ごしていた。

    「あー、お風呂、入りたいけど面倒っすな~ やはり実家の風呂が最高・・・」

    これまで忙しなくキーボードの上を泳いでいた手が、部屋の天井に伸ばされた。ゴキゴキパキパキ、およそ人間からしていいのか分からない音を鳴らしながらもイデア・シュラウドはただただ面倒そうに呻いていた。
    そんな不穏な音に耳をそちらへ回転させるのは、部屋の主のベッドを自分のもののように扱う、レオナ・キングスカラーである。知らぬものが見たら見惚れるような長い腕も、筋肉質な足も、今はだらんとベッドの形に添うように投げ出されていた。しかし、その発言は聞き捨てならぬとしゅるりと音を立てて尻尾が揺らめいた。

    「あれは風呂じゃないだろ」
    「は?」

    イデアは激怒した。かの傍若無人怠惰第二王子を除かなければならぬと決意した。
    いや、激怒はしていないが。

    「何を言ってるのレオナ氏、あれは立派な風呂ですぞ」
    「風呂じゃねえよ最悪だったぞ あんなんじゃ、全然気が休まらねぇ」
    「・・・・」
    「・・・・」

    互いに視線を合わせて、居住まいを正す。これは2人にとっての決闘である。
    一呼吸おいてから、沈黙を破ったのは先刻素晴らしい施設の風呂を馬鹿にされたイデアシュラウドであった。

    「失礼ですけど、風呂の定義って知ってます?汚れを落とす、体を綺麗にする場所というのがそもそも我々の中では常識だと思うですが」
    (※欧米などでは主にそのような認識のようです)
    「だからと言ってあんなに強くブラシやらなんやら押し付けられる場所でもないだろ」

    ゴウンゴウンと湯煙の中、迫りくるブラシやあわあわのスポンジを思い出しただけでもあの気持ち悪さを思い出しペタリと耳が伏せる。視界の悪い中、やめろといっても顔に押し付けられる泡に耳の中まで迫りくる機械たちにぞわりとしっぽの毛を逆立てたレオナはじとりとイデアを見据えた。

    「それは外界の汚れを確実に洗浄するため。それにあんなに時間も短縮できるしむしろ外の風呂よりよほど優秀では?フヒ」
    「体が休まらなくねえか?」
    「体を休める? そんな目的で風呂入ったことないよ・・・べたついたり汚れた体を綺麗にしてストレス値を下げるだけ」
    「まじかよ」
    「そんなに言うならレオナ氏はどういう風に風呂をつかってるのさ」

    唐突な質問に改めて風呂とは、に思考を巡らせてみる。
    数拍ののち、姿勢を崩して言葉をつづけた。

    「風呂っていうのはリラックスする場だ」
    「というと?」
    「まず、夕焼けの草原にはエレファントレガシーって場所がある」
    「・・・そうだね? プリン貰ったし・・・香りが独特で美味しかった」
    「おう あそこは観光者向けの施設があるだけだが、王族専用の保養所、つまり温泉があるんだ あのヴィル・シェーンハイトもお気に召す、な」

    へぇ、とレオナが続ける言葉に関心を持ったのかイデアが相槌をうつ。

    「あいつが気に入ってたのは、肌の効果だが他にもいろいろある。
    筋肉の疲労回復、それこそお前が好きな外界の汚れを落とす殺菌効果もあるぜ」
    「ふぅん、レオナ氏そこの温泉好きなんだ」
    「まあ気に入ってはいるな 温泉でなくとも浴槽でゆっくり漬かるのは気持ちがいい
    獣人族は割と好きな奴が多いかもな」

    確かに水浴びをするライオンや、お湯に漬かるカピバラの映像はマジカメでバズっていた。動物に性質が寄っている彼らの談話室にも、水浴びが可能な水浴び場があるという。イデアにとっては面倒な行為だがそれを楽しむこともあるのかもしれない。

    「なんだ?入りたくなってきたか?」
    「べ、別にそんなんじゃないですし やっぱり面倒だよ」
    「なら一緒に入るか?」
    「エッ」
    「今ならお前の実家とはいかないが、第二王子が特別に髪を洗うところから丁寧に乾かすところまで全自動でのサービスが付くぜ?」

    ヴッという汚い音をだし、しばらく頭を抱えたり体を捻ったりと奇行を繰り返すイデアを眺める。
    その後10秒間ほどしっかりと悩んだ末ガタリと椅子から立ち上がった。

    「あ~・・・、その、なんというか・・・うん 折衷案ということで、拙者も面倒な手もかからなくて済むし?妥協してあげてもいいかなとは思い、マス」
    「それはありがたいことで」

    そそくさとタオルや着替えを準備し始めたイデアを目だけで追う。右往左往する髪の揺らめきを追えば口から漏れ出るひねくれた言葉とは別に、ピンク色に燃える髪がちらちらと本心を伝えくる。

    だがそれはまた後で、ゆっくり風呂にでも入りながら応じてやろうと獅子は一人笑うのだった。
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