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    生姜ァ

    エロとかグロとかニッチなネタとかTwitterに投稿しづらい絵置き場。たまにただの落書き

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    生姜ァ

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    ヴァルトム王座獲得ルート妄想。ワダヴァル前提。Twitterのつぶやきを整理した小説のような何か。おそらく文法とかめちゃくちゃですがお許しください。「女王」呼びは仕様です

    赤百合の女王 ヴァルトムはシンカリオンに勝利した。全ての動植物も忌々しいあの双子達もアラバキによって排除され、地球は静寂となった。ヴァルトムが発生させた赤百合のような巨大怪物体が荒れ果てた大地一面に根を張り増殖し花が咲き乱れている。この光景にある道化は
    「地球はつまらなくなった。善も悪も思想も感情もないただ繁殖の事しか考えてない花の化け物に支配されてしまった」
    そう言って地球から出て行った。
    脅威となる人類や他のテオティはもうここにはいない。今は生息領域を急速に拡大している赤百合の司令塔として動いている。赤百合の勢いは止まることを知らず、ついには地球全土が花に覆い尽くされ静寂の赤い星へと変化していた。ついにヴァルトムは「女王」となったのだ。


     女王は城に戻り大広間を抜けさらに通路の奥にある扉を開ける。女王の部屋、それは広く煌びやかでいかにも王に相応しい寝室だ。そこに一際大きなガラスケースが台座の上に一つ。中には全長2mを超える赤い宝石の塊、それも人の形を模したような精巧な作りで、まるで横たわって眠っているようだ。宝石の周りにはたくさんの花が敷き詰められている。このガラスケースも棺のようになっている。女王は棺の蓋をずらし、宝石の顔に近づき
    「ワダツミちゃんがいなくても…私女王になれたわ。でも足りない、私を守る騎士様がいないの。だからまだ頑張るわ絶対戻してあげるから、もう少し眠っていて」
    口付けをした。


     赤い地球は時が止まったように静寂だが永久ではない。赤百合が養分を吸い尽くし地球が崩壊しようとしていた。女王は新たな居住地へ向かうため城を大きな宇宙船に変え、赤百合の種子達と宝石と共に火星へ向かった。火星になら石化解除の手がかりがあるかも知れないという希望を抱きながら…。


     火星へ移住してどれだけの時間が経っただろう。自我を持ち自力で行動ができる赤百合の子どもが誕生した。巨大怪物体も時間の経過と共に進化するようだ。子ども達は言語を理解し発することも可能で、静寂だった星は次第に賑やかになってきた。寝室からでも楽しそうな声が微かに聞こえる。
    「あの坊や達、まるで私とワダツミちゃんの子どもみたいね。今まで欲しいなんて思ったことなかったけど、いざいるとなると愛おしいものね」
    女王は少し嬉しそうに宝石に話しかけた。赤百合の子どもも成長していく。ある日女王は成長した「坊や達」に石化解除の手がかりを探すように指示し、宇宙へ放った。
     坊や達の繁殖力は今までの赤百合とは桁違いの早さだった。新たに星を見つけてはそこに移住して捜索しつつ繁殖、一定の数まで増えれば一部の者が新たな手がかりを探しに宇宙へ…を繰り返していくうちに陸がある惑星であれば太陽系はおろか近辺の銀河系まで領土を広げていくことになった。


     初めて坊や達を見送ってから長い年月が経ったある日、ついに石化解除の手がかりがある惑星を発見した。それは地球によく似た、水が豊富で生物が多く住んでいる青い星らしい。女王は早速、坊や達を連れて近くの星へ移住し、青い星の視察を行った。その星は人類によく似た生物が多く文明も発達していた。
    「すごい…まるで私が初めて見た時の地球みたい」
    呆気に取られていると、どこからともなく女王を呼ぶ声が聞こえ振り向くと、見覚えのある道化の姿だった。

    「お久しぶりです。貴方様の活躍は風の噂で聞いていましたが、まさかこの星にまで来られるとは」
    道化は怪しい笑みを浮かべながらこう続けた。
    「この星は面白い。なにせここの住民が感情豊かなものでしてね、毎日混沌としていて飽きないですよ。」
    道化はこの星の歴史や発展具合を簡潔に説明した後、女王に何故ここに来たのか理由を尋ねた。理由を聞いた後こう提案する。
    「私と手を組みませんか?」
    なんでも、この青い星は宇宙開発に力を入れておりそれに伴って外からの侵略者にも警戒しているようだ。もっとも鉄道会社と協力して戦闘ロボット作ってる…なんて事は無いようだが。この事実を知った女王は一筋縄ではいかないだろうと結論づけ、道化の案に乗ることにした。


     道化は住民の生体の仕組み、大陸ごとの環境、防衛組織の内部事情…などといった情報を提示した。作戦はまず坊や達が防衛組織の基地を襲撃し無力化、そして星全体に睡眠ガスを撒くことで全ての生物を眠らせるといったもの。このガスは赤百合が吐き出すもので、凝縮させたものだと普通の生物なら約1000年は眠り続ける。青い星の住民の生体は人間と変わらないようで、眠りから覚める前に寿命で死ぬだろうし、その前に繁殖した赤百合や坊や達が喰い尽くすだろう。早速女王は宇宙船のある星に戻り、睡眠ガスを撒く兵器の製造に取り掛かるように命じた。


     女王は寝室に入り、いつものように宝石に話しかけた。
    「やっとあなたに会える日が来るのよ。必ずあの青い星を手に入れてみせるわ」


     しかし現実は甘くなかった。その日は坊や達がやけに騒がしく何事かと様子を見に行ったら、道化が2人の男を捕らえていた。どうやらこちらの企みに勘づいた者がいたようだ。
    「我々の行動を不審に思い、たった2人でこちらに来たようだ。命知らずな奴らだ」
    宇宙開発に力を入れていたと聞いていたが、まさかあっちからやって来るとは。見たところ防衛組織関係者では無さそうだ。単なる物好きな一般人といったところか。とはいえ侵入者に変わりはない早く始末するべきか、あるいは…。捕らえられた男達は口々に何か騒いでいる。どうやらカルト宗教かテロ組織の何かだと思っている様子。女王が自己紹介したら信じたのかひとまず落ち着いた。言葉は通じるようだ。続けて女王は地球へ移住したい事を伝え、協力すれば財産やこちらの技術を提供すると交渉した。


     結果は決裂。そもそも企みを阻止するために来たようで、宇宙人なら尚更…とのことだった。これは始末するしかない…と判断した女王は即座に眠らせるように命令したが1人の男が激しく抵抗し逃してしまった。眠った仲間は坊や達に拘束させ、すぐに後を追ったら製造中の兵器の前に男が立っていた。
    「こんな物騒なモノ作りやがって…!ぶっ壊してやる!」
    男は積まれてる壺を一つ取り上げ兵器にぶつけようとしていた。
    「やめなさい!ここだとたった一つでも吸ったら1000年は眠ってしまうわ!」
    男は一瞬戸惑うがすぐにこう叫んだ。
    「やっぱり俺達人間を死ぬまで眠らせるつもりじゃねぇか!お前確か”ヴルトゥーム”とか言ったか?諸共眠っちまえ!」
    男は声を荒げながら壺を叩きつけた。積まれている他の壺にぶつかり複数割れてしまった。この量だと宇宙船にいるものは全員長い眠りについてしまうだろう。女王は何を思ったのかとっさに寝室にある宝石の元へ走っていった。道中には眠ってしまった坊や達が至る所に倒れていた。あの男とその仲間も死ぬまで眠り続けるだろう。あの道化が見当たらないが逃げたのだろう。


     徐々に意識が遠くなる…。やっとの思いで棺に入った宝石の元へ辿り着いたが、女王は既に限界だった。もう立ち上がることもできない。そもそもテオティに睡眠ガスはどのくらい効くものだろうか。多少耐性はあるはずだが、いずれにせよテオティからすれば1000年はほんの束の間のようなもの。
    「ごめんねワダツミちゃん…やっと戻せると思ったけど、まだ少しかかりそうだわ」
    石化して宝石のように動かなくなったワダツミを棺越しに撫でながら、赤百合の女王ヴァルトムは長い眠りについた。


     こうして青い星は女王の脅威から逃れることができた。身の危険を察知し、いち早く宇宙船から脱出し眠らずに済んだ道化は、紫のスーツを身に纏い平和な街並みを歩いていた。
    「進化した巨大怪物体が支配する世界も見てみたかったが、惜しい事をしたな。それにしても、人類が…地球と呼ばれてる惑星が…他にも存在していたとは、流石に俺も驚いた。退屈しなくて助かるよ」
    道化は独りつぶやいて交差する人混みの中に溶け込んだ。
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