痛みは愛おしさに劣る 「イーオン?何してるの?」
イーオンの非番である今日、ピークの時間も過ぎそろそろ昼を取ろうかといった時にグツグツと何やらイーオンが煮込んでいたから私はひょっこりとキッチンに顔を出した。
「ティファリア」
「…何か、すごく辛そうね」
香辛料の香りが、刺激臭がすごく思わず顔を顰めると楽しそうにイーオンは笑った。
「これはラティウムという街の名物料理、【ヴォルカノ・ボッカ】というものらしい」
「ラティウムってあれよね…魔法が有名な」
「ああ。実は城の方に今ラティウムからの行商人が来ていてな、それでこの料理を教えてもらって実践しているところだ。良ければティファリアもどうだ?ココナッツミルクを入れて辛さを調節したりするらしいからな」
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