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    SweetLove@藍

    @sweetorange1112

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    SweetLove@藍

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    しあわせのあしおとぽかぽかと、優しい光が差し込む穏やかな午後。
    「テ〜〜…」
    「ガ!」
    ぽてぽて、と愛らしい足音が聞こえてきて、
    天は洗濯物を畳む手を止めた。
    「二人とも起きた?」
    「テ……」
    「ガ!!」
    顔を上げると、まだ眠そうに目をこするねずみのような耳を持ったピンク色ももふもふした子と
    ねこのような耳を持ったグレーのもふもふした子が、手を繋いで天の元へやってきた。
    この世界に突然現れてから数年。
    人間と共存する通称「モン」を天は自分の子どものように可愛がっていた。
    「良く寝てたね、モンてんちゃん」
    ぴとり、と天に抱きついてぐずぐずと鼻を鳴らしているモンてん、と呼ばれたピンク色のモンをそっと抱き上げてあやす。
    甘えん坊のモンてんは、昼寝から目が覚めて天が傍に居なかったことが気に食わなかったようだ。
    その姿を天の膝の上に両手を付いて心配そうに見上げるグレーのモン、モンがくも天は片手で優しく撫でる。
    「ふふ。モンがくくんもよく寝てたね。二人ともお手手洗っておやつにしようか。」
    おやつ、というワードに二人はぴくり、と耳を震わせて目を輝かせる。
    「テ!」
    「ガ!」
    モンてんは天の腕から抜け、モンがくと洗面所に向かう。
    天はくすりと笑って立ち上がり、二人を追いかける。
    「二人ともいい子だね」
    洗面所で待ち構えていた二人を交互に抱き上げ、優しく手を洗い、ダイニングテーブルに着けた子ども用の椅子に座らせた。
    「今からホットケーキ作るから、良い子で待っててね」
    「ガ!」
    「テ!」
    良い子のお返事をして二人ご機嫌に歌っている間に
    天は慣れた手つきでホットケーキを焼いていく。
    焼き上がったものにバターを塗り、モンてんには大好きなチョコソース、モンがくにはお気に入りのいちごジャムを添えて食べやすくカットする。
    「はい。出来たよ。」
    「テ〜!」
    「ガ〜!」
    出てきたおやつに二人は嬉しそうに声を出しフォークを握る。
    まだうまくフォークを使えないモンてんと器用にフォークを使うモンがく。
    時々手伝ってあげながら仲良くおやつタイムを進めていると。
    「ただいま」
    玄関から帰宅を告げる声に
    「ガ!」
    「テ!」
    二人はフォークを置いて椅子から飛び降り、一目散に玄関に向かう。
    「ちょ!二人とも?!」
    天が慌てて追いかける。
    「ガーー!」
    「テテっ!!」
    天が追いついた頃にはすでに玄関で楽に飛びついていおり、楽は笑いながら両手で二人を受け止めていた。
    「ただいま二人とも。出迎えありがとな」
    ちゅ、と交互にお帰りのキスを落とすと嬉しそうな声をあげる。
    「おかえり」
    「おう、ただいま。」
    天が声をかけると楽が微笑う。
    同じアイドルで同じグループで絆を育んだ2人は、いつしかかけがえのない存在となり恋をした。
    そしてその恋を大切にしっかり育んだ後、婚姻関係を結んだ。
    天は今まで馴れ親しんだ【九条天】を芸名として、
    本名は楽の姓を選び、【八乙女天】となった。
    「ただいま、なんかいい匂いだな」
    「二人のおやつ作ったから今日はホットケーキ。食べてる最中に楽が帰ってきたたら二人とも飛び出しちゃって」
    「そうか。あ、ホントだ。モンてん口の周りチョコだらけじゃねぇか」
    「テ!」
    チョコソースまみれになったモンてんの口を笑いながら指で拭う。
    「ママのホットケーキ美味いか?」
    と聞くと
    「ガ!」
    「テ!」
    二人とも嬉しそうな声を上げる。
    「そうか、よかったな。」
    「楽も食べる?お食事系のやつ作ろうか?生地はまだ残ってるからすぐできるよ?」
    「マジか!撮影押して昼食えなくて腹減ってんだ」
    「じゃあすぐ作るね。二人ともパパとおやつ食べててね」
    モン二人を自分たちの子として育ててるため、楽は天のことをママ、天は楽をパパと呼ぶ。
    「ガっ!」
    「テっ!」
    良い子のお返事を返すと、順番に楽に抱き上げられて椅子に座り仲良くおやつタイムを再開させた。

    と、思っていたら。

    「テ〜…」
    突然ひしっ、と天の足にしがみついたのは、おやつを食べているはずのモンてん。
    「ん?どうしたの、モンてんちゃん?今火使ってるから危ないよ?」
    そう声をかけると
    「テ〜〜…」
    モンてんが泣きだしてしまう。 
    天は火を止めてモンてんを抱き上げた。
    「どうしたの?」
    突然の事に困惑する天の腕の中でわんわん泣くモンてん。しっぽも元気なくぺしょ、と萎えている。
    ポンポンと背中を撫でながらあやしていると、
    楽がキッチンに入ってきた。
    「やっぱり入っちまったか。」
    「楽、どうしたの?」
    状況を聞くと楽は苦笑いをして
    「モンがくと最後の一口の取り合いで負けちまったんだよ」
    楽が天にしがみついたままのモンてんをなでる。
    「そっか。モンてんちゃんは悔しかったんだね」
    「テ〜…」
    子ども同士でよくあるおやつの取り合いに負けて悔しかったのがモンてんが泣いてしまった理由らしい。 
    「ガァ」
    すると、後を追いかけてきたモンがくまでキッチンに入ってくる。
    「ガ!ガァ…」
    「ほら、モンてんちゃん。モンがくくんが呼んでる?」
    モンてんを床に下ろすとすぐさまモンがくが近寄る。
    「ガ、ガ!」
    「テ…テ?」
    「ガ!ガ〜!」
    「テ〜!」
    どうやらモンがくが最後の一欠片をはんぶんこしてくれるようで、一緒に食べようと呼び戻しに来てくれたようだ。
    「はんぶんこしてくれるの?モンがくくんありがとう。」
    「ガ!」
    「えらいな、モンがく。ほらモンてんもモンがくにありがとうしような?」
    「テテっ!」
    「ガ〜」
    仲直りのハグをして二人手を繋いでキッチンを出る。
    「悪かったな、天」
    「大丈夫だよ。もうすぐ出来るから」
    「おう。」
    楽もその後をついていく。
    その姿に安心して、天は再びフライパンに火をかける。
    そして数分後。
    「はい。楽のホットケーキできたよ。」
    「お!サンキュ!」
    楽の前に置かれたツナとチーズがトッピングされたホットケーキ。
    美味しそうな匂いに反応したのは、もちろん幼い二人の子どもたち。
    「ガ!」
    「テ!」
    「うぉ!こら!これパパのだって!」
    「ガ〜!」
    「テ〜!」
    ほかほかのホットケーキを狙う二人と必死で守る楽。
    「ふふ。狙われてる」
    賑やかなリビングに天はくすくす微笑う。
    楽の伴侶となり、モンを迎えてから天はよく笑うようになった。
    楽は根負けしたようではぁ、とため息を吐く。
    「しょうがねぇな…あんまり食うと晩御飯食べられなくなるから、一口ずつな。」
    「ガ!」
    「テ〜!」
    モンがくとモンてんに一口ずつおすそ分け。
    天のホットケーキが大好きな二人は嬉しそうに微笑う。
    「甘々だね、パパ」
    「しょうがねぇだろ。可愛いんだから。」
    そう言って楽はやっと自分の口にホットケーキを運ぶ。
    「この子達に今こんなに甘いなら今後もどうなっちゃうんだろうね」
    「なんだ?」
    ねー、とモン二人を撫でる。
    そう言えば今朝、天はオフだから病院に行くと言っていた。
    少し前から気になることがあったらしい。
    そのことを思い出した楽は
    「お前、今日病院行ったんだろ?どうだった?」
    「うん。そのことなんだけど……」
    珍しく歯切れが悪い返事をする天に、まさか悪いものが見つかったのかと不安になる。
    「天?」
    「あのね…」
    すると、天は楽の前に小さな冊子を出す。
    そこには【母子健康手帳】と書かれていた。
    楽が目を見開く。
    「ここに、キミの名前を書いてほしいんだ。」
    ページを開くとすでに【母】と書かれた欄には天の名前。
    「まさか…」
    「うん。その、まさかだよ。」
    嬉しそうにまだぺたんこのお腹をなでる。
    「赤ちゃん、来てくれたよ。」
    「っしゃぁ!!」
    楽はがばり、と立ち上がり天を抱きしめる。
    「ありがとうな、天。頑張ろうな」
    「うん。よろしくね。」
    小さくキスを交わすと
    「ガァ!」
    「テ〜!」
    愛おしい子たちの声に2人で吹き出してしまう。
    「モンがくもモンてんもおにいちゃんだぞ!」
    「ガ!」
    「テ!」
    いまいち分かっていないがパパが喜んでいるからと一緒に喜ぶモンたち。


    近い未来。
    このリビングはもっともっとにぎやかに
    そして
    幸せで溢れることだろう。
    天はそんな未来を想像してより笑みを深くした。


    おわり
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