愛と、好きと、恋って、どう違うのだろう。
彼の手が好ましい。努力してきた人の手で、私を優しく、丁寧で、そっと触れてくれるから。
笑った顔を見ると、胸がふわふわする。軽薄な笑みも、心から嬉しそうに笑う様も、もっと見ていたくなる。
声が聞こえると、心が弾む。名前を呼ばれるだけで傍にいてくれるのだと感じられる。耳に近すぎると、心が弾むどころではなくなってしまうけれど。
ふとした時にバニラの匂いがすると、彼を思い出す。お菓子を作っているところや、普段の行動が頭に浮かんで、無性に会いたくなる。
あなたから血の匂いがすると、心配になってしまう。
作ってくれるご飯が美味しい。胃袋を掴むということは、きっとこういうことだろうと思う。
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