穴が埋まらない。
物心ついたときには既にそうだった。何をしても、どうにも埋めることができなくて。それと同時に、穴を見るとなんとなく指を入れたくなる。埋まると安心するから、蟻の巣でも、公園の遊具でも、金具でも、なんでも。穴であるならそこに指を入れたくなる。穴に指を入れて抜き差しすることを、多分『楽しい』と思っている。
自分が何を感じているのか、言葉に表すことが出来ない。そもそも私はなにか感じているのだろうか。例えば、怪我をした時に「痛み」を理解することができても、泣いたり、怒ったり、そういう感情がわからない。動けるなら動くし、動けないならその場にいたらいい。それだけ。
「お前、なんか機械みたいで気味が悪い」
22993