Cutie magic 1「ここが会場かあ」
ジンに渡された地図を片手に、空は目の前の一軒家を見上げる。
外壁は構造材である木板を見せた白塗りの壁、煉瓦色の屋根には煙突が一本、天に向かって伸びている。二階にあるバルコニーにはアヒルの足の形をした蔦が、多すぎず少なすぎずの量でポールに巻き付いていた。
モンドでは一般的な、近隣にいくつもある民家とほぼ同じ造りの家だ。違う要素を挙げるならば近隣の家よりも敷地が広いことと、玄関ポーチにできている着飾った人間の列だろうか。パートナーにエスコートされる婦人もいれば、友人同士なのか、どこか浮き足だった女性だけのペアも何組か見かけた。そんな人々が並ぶポーチには門番のように構える背が高いスーツ姿の男が二人立っていて、列を成す人々が示すカードを確認すると、開かれた扉に向かって恭しく腕を伸ばしている。
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