かえる七五♀「七海、ちょっと時間ある?」
「はあ、まあ」
談話室に呼ばれて、七海と夏油は向かい合って、座った。
「なんです?」
「悟はさ、七海のことが好きなんだって」
「………は?」
晴天の霹靂というか、突然の爆弾を落とされた気分だった。
「いえ、どう考えても、嫌いでしょう」
入学して出会ってから、猫が胡瓜を見て飛び跳ねるが如く、七海は五条に避けられている。夏油はそれらを思い出して、くっと喉で笑い、目を細めた。
「あれはどうかと思うけど」
「おもってるんじゃないですか」
「思うよ。でも、真正面から七海と会う以外は、目で追ってるからね」
「はあ?」
しかし、それがどうしたという話でもある。五条が自分のことを好きだろうが、嫌いだろうが、別に構いやしないのだ。だって、七海は五条の事をなんとも思っていない。むしろ、避けたいタイプの人間だと思っている。
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