1123それは、眠る前のひととき、それぞれ寝台に横になりながら取り留めもない話をしていた時のこと。
「おれたちってさあ、もう兄弟みたいなもんだよね」
唐突にダイが言った。
思わず怪訝な表情を浮かべると、彼はその答えを口にする。
「街で聞いたんだけど、今日は兄の日なんだって。知ってた?」
「兄の日?」
オウム返しに問うた自分に、ダイは得意気に言う。
「そう、兄の日!兄さんに感謝したり、兄さんと一緒に過ごしたりする日なんだってさ」
成程、母の日や父の日と似たようなものなのかもしれないと納得する。
「ほら……おれのことさ、いつも気にかけて助けてくれるだろ?だから思ったんだ。確かにおれにとっては頼りになる兄さんみたいなものだし。結果的に、今日一緒に過ごせてよかったなぁって」
そう言って、枕に片方だけ頬を埋めながらこちらを見つめる。
確かにダイは弟のように大事ではあるし、守りたい存在であることには違いない、が……。
──兄さん、か……。
ダイの言葉を、理解は出来ても完全には納得しきれず、押し黙ってしまう。
しかし、ダイはこちらの様子など気に留めず話し続ける。
「嬉しいんだよ、おれ。デルムリン島にいた頃は、兄弟どころか家族なんてじいちゃんだけだったし。兄さんがいたらもっと楽しかったかもなぁって思ったこともあったからさ!」
ふふふ、と昔を思い出し、嬉しそうに笑うダイは可愛らしいし、こちらとしても嬉しい気持ちがない訳ではない。
そう思いながらも、既に兄として抱くものではない感情を持ち合わせている自分もいて、内心は複雑だ。
「そろそろ休んだ方が……」
態とらしく咳払いをし、強引に話を切り上げようとした所で、ぎしりと寝台が軋む。
目の前には、伸ばした自分の両脚を跨ぐようして座るダイがいて。
「でもおれ、実の兄さんじゃなくてよかったなって本当は思ってるんだ」
「それは……」
言葉の真意を尋ねようとしたが、その先はしっとりとした感触により遮られた。
「だって……本当に兄弟だったら、こんなこと出来ないだろ?」
悪戯っぽく小首を傾げながら、上目遣いに自分を見つめるその顔はほんのりと紅く。
愛おしい弟の期待に応えるべく、兄はまろやかな頬へ手を添えると、そっと引き寄せるのだった。
終
いいにーさんとは……即ち(ダイ君に手を出しても)いいにーさん……🤤🤤🤤。
実際に兄弟でも、それはそれで美味しいと思ってしまう主腐ですけどwww