空から降る銀の雪 ー大学1年12月ー カレンダーが十一月から十二月へ移り変わると同時に、季節は一気に冬を色濃く映し始めた。
街はクリスマス一色になる。
快斗は先月から数えて五度目になるクリスマスパーティーへの誘いを断り、次の講義へと移動していた。大学の中でも指折りの広さを誇る階段教室。一歩足を踏み入れた瞬間、大きく手を振る姿を見つける。
「快斗、こっちやこっち!」
遠慮のない大声に他の生徒までが振り返った。苦笑しつつも呼ぼれるままに平次の隣へ腰を下ろす。平次を挟んだその隣では、新一が小説の世界へ飛び立っているようだ。
「もう部屋片づいたんか?」
「まぁね」
快斗が生家を出てまだ数日。特に問題もなく、上々のスタートを切っていた。
「せやけどお前の母ちゃんもワイルドやな。一人で世界旅行やろ。なかなか出来るもんちゃうで」
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