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    なろ御膳

    @narogozen
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    なろ御膳

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    甥伯父(ショザリュガ)の雲視点。わけ分かんなくなってきたのでここに供養する。

    世知辛い世の中なんて自分に息子がいるだなんて夢にも思わなかった。
    今よりも地に足がついていなかった頃、お付き合いしていた女の子の一人だったことは覚えている。なんとなく気があって、なんとなく付き合いやすい子で、なんとなく会わなくなっていった。そんな相手からの突然の連絡に、すぐに答えることなどできなかった。
    俺が珍しく一人で悩んでいたら、いつもと様子が違うのを気にした異母兄が、それこそ珍しくどうしたと声をかけてきた。
    「俺、子供いるみたい」
    そう伝えたリュウガの形相はハッキリ言って面白かった。驚きと怒りと呆れを混ぜるとこんな顔になるんだなぁ、と他人事のように思ったものだ。最終的にはさっさと会いにいけと怒鳴り散らされた。
    異母兄の後押しもあって、会う決心をしたというのに、残念ながら彼女は帰らぬ人になっていた。
    不慮の事故だったそうだ。
    少し前に連絡をもらっていた身としては、なんだか実感が湧かなかった。復縁ではなく、ただ息子にあって欲しいと言った彼女の願いを叶えるべく、俺はリュウガを連れ立って葬儀に参列した。
    そこで目にしたのは子供を前に責任を押し付け合う大人の姿だった。子供と言っても14、5と微妙な年齢だけど、それでも居た堪れない様子は俺の癇に触るに十分だった。
    「俺のところに来るか?」
    勢いに任せてそう言った俺はその場で一番無責任な大人だったと思う。
    実際、なんかややこしそうな書類や手続きのほとんどはリュウガがやってくれた。俺は言われるがままにサインだなんだをしただけ。挙句、まだ受け入れる心算がないと言えば、息子は預かってやると言い出したのだ。ほんと、リュウガは身内に甘い。
    息子、ショウザはというと、俺ではなく伯父にあたるリュウガの家に厄介になることに疑問を抱かなかった。たまに訪ねる程度の俺に文句も言わず、顔を合わせれば無邪気に俺のことを親父と呼び慕った。血の繋がりが本当にあるのかは分からないが、そう呼ばれることは不思議と嫌ではなかった。
    ある時、俺はリュウガの留守を狙って部屋を訪ねた。日頃お仕事に忙しい異母兄は家を空けていることの方が多かった。しかし、今はショウザがいる。少しはコミュニケーションを取るべきかと腹を括ったわけだ。
    「あれ? 珍しいね」
    玄関先で出迎えてくれたショウザは驚いた顔をしていた。
    「あー……えっと、邪魔するぞ」
    「うん! いらっしゃい!」
    しかしすぐに嬉しそうに笑うショウザを見て、本当に素直なやつだと感心する。
    「リュウガさんなら留守だけど」
    「あぁ、別に用がある訳じゃねぇよ」
    ショウザの後についてリビングに入る。そこにはいつも通りの見慣れた景色が広がっていた。いや、少し物が増えたか?
    「ねぇ、何か飲む?」
    キッチンからひょっこりと顔を出したショウザが尋ねてくる。
    「コーヒー」
    ダイニングテーブルの席に腰かけながら、返事をする。はいよー、と返したショウザは慣れた様子でキッチンを動き回っている。すっかり馴染んだな、と俺はぼんやりとその様子を見ていた。しばらくして、「はい、どーぞ」と差し出されたマグカップを受け取り一口含む。インスタントだがなかなか美味しかった。
    「あのさ、親父に聞きたいことあるんだけど……」
    何を喋ろうかと考えていた矢先にショウザの方から話題を振ってきた。向かいに座ったショウザが急に改まったりするから、俺は少しだけ身構えてしまう。
    「えっと、好きな人に気持ちを伝えるのってどうするのが一番だと思う……?」
    まさかの恋バナ!!俺は危うく飲んでいたコーヒーを吹きそうになった。そういうお年頃だというのは分かる。恋に生きる、大いに結構。しかし、問題はショウザの想い人だ。
    「お前、それリュウガのことだろ」
    半ば呆れた口調で尋ね返せば、ショウザの顔が一気に赤くなった。なんとも分かりやすい反応である。
    「あー……バレてる?よね……」
    何度かこの部屋を訪ねて、ショウザとリュウガのやり取りを見ていれば嫌でも分かる。ショウザがアピールしているのに対し、リュウガは全く気づいていないのだから見ていて面白かった。なにより、ショウザの一方通行ではないのだ。リュウガ自身に自覚はないようだが、ショウザを受け入れてしまっている理由は甘さだけじゃないはずだ。
    「あの堅物には素直に伝えてしまう方が効くんじゃねぇかなぁ」
    回りくどいことをしたところで、実を結ぶとは思えない。気づかせるためには真正面からぶつけた方がいい。なんなら、いっそのこと押し倒してみればいい。きっといい顔するだろうなぁ。なんて、コイツは考えもしないのだろう。ちゃんと伝えるべきだよな……と悩み項垂れてるショウザに頑張れよとエールだけは送っておいた。
    父親として本当ならショウザの思いを止めてやるべきなんだろう。弟としてリュウガを窘めるべきなのだろう。だけど、俺には止める理由が見つけられなかった。今はまだ曖昧でも、確実に思い合っていると分かる二人なのだ。俺くらい認めてやってもいいんじゃないかな、とまた無責任なことを考えていた。
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