サイエンス部微騒動「なぁルーク、これどう思う?」
トレイが栓をした試験管を持って、薬品を探すついでに棚の整理をしていたルークに話しかけた。
「おや、これは……。……おかしな香りはしないね」
「さっき俺も匂いを見たが、人体に有害なものは入っていないはずだ」
ガラスの中には赤い煙が満ちている。ルークがトレイに栓を開けるように促して、瓶を手で仰ぐようにして軽く匂いを嗅いだ。
「………」
瓶の前で目を閉じてジッとした後、ルークは腕を組んでうーむと考える素振りをした。この香り、この温度、この濃度……あまり目新しさはなく、授業や部活でも同じような魔法薬を扱ったことがある。しかし、少し珍しい匂いがする。
「映画部の手伝いで、植物をワッと生やして……色を変えるやつが必要だって言ってただろ。それを試してたんだが……」
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