ここまで煽られたからには応えるというのが礼節というものだろう。
聞き慣れた特徴的な金属音を追い、スカイフックまでやってきてしまった。
大きな音を立てて開けられ、そのままになっているドア。近づいて聞こえる音から判断すると・・・あのガキがいるのはおそらく二階。
ハックを持ち出し、周辺部隊数を一応確認する。0だ。
銃声やリングの位置から察するに、残りの参加者たちは皆まだフラグメントで乱戦中だ。
ゆっくり息を吸い、気持ちを落ち着かせる。
遊んで欲しいのであれば、遊んでやろうじゃないか。
***
コツコツコツコツと足早に建物の中に入ってくる音が下から聞こえてくる。
あいつも俺も一人での参戦だ。マッチングシステムの不具合がある中、弾きだされた組み合わせはなんともちぐはぐで。 ラッキーと喜ぶ俺とは裏腹に、あいつは浮かない顔だった。
まあ仕方ないよな。援護と補佐が長所のあいつにとっては災難だ。
それでもショーは始まっちまう。
ならば、楽しんだもん勝ちだ。
***
仲間が居なければ、円を読みそれに沿って移動するべきだ。
運が良ければキルを横取りするのもありだろう。
ひとつ気になっているのは、行く先々にある誰かの置き土産だ。
移動スキルのない俺にとって、あまりにも都合のいいジャンプパッド。
俺はどこかに誘われているのか?
周辺に緑色の軌跡は見えない。ハックを宙に投げて確認するまでだが。
***
ふわふわと宙を舞って索敵するドローンの視界を避け、あいつが安全だと思いそうな場所に全速で走る。
あいつはきっとここにいる。勘?いやいや、これは愛の力だアミーゴ。
岩陰を最速で曲がる。ほらな?居た。
見てくれよ、このハンサムな顔!
ウィングマンをこめかみに充て、迷いなく一発撃つ。
衝撃でドローンとの接続が切れたあいつが、すぐさまこちらに銃を向けた。
アーマーが割れただけだからまだ痛みは感じてねえだろ?
「オクタビオ…!」
俺だと認識した瞬間、撃たなかった。この人の好さ。いつか命取りになるぜハニー。そういうところが大好きだけどな。
「おい、アモール。 ヒマだろ?俺を追って来いよ」
「は?」
マスクを外し、力任せにあいつの上着の襟を掴んで引き寄せる。
何かをされると思って目を閉じてるぜこいつ?かわいーな?今はしねえけど。
「ほら、見ろよ」
目を開けたテジュンの前に明るいピンク色の錠剤を見せつけて、飲み込む。
「っ・・・」
みるみる目元が染まっていく顔がたまらねえ。シルバ製薬特製、即ハメ御用達の薬だって知ってるもんな。
一分もしねえうちに、俺と気持ちよくなれるのを思い出してんだろ?
「やっておいてくれよ。キルログのやつ」
「・・・10秒待て」
無言で目元をタップして出てきた画面で何かをしちまえば、オクタンもクリプトもそれぞれ名無しに撃破された。
おいおい、俺はグレで吹き飛ばされたのか?
キルログ通り部隊数が一気に2つ減り、フラグメントの緊張感がさらに増した、んだろうな。知らねーけど。
「スカイフックのカメラドローンをループさせた。行くならそっちに行け」
「位置についてよーいドン!!」
ドクンドクンと高鳴る心臓の音を聞きながら、ちらりと後ろを見る。
テジュンは追ってきている。
なんかちょっと速くねえか?ハハッ!
大人のゲームの始まりだ。
***
ここまで煽られたからには応えるというのが礼節というものだろう。
視聴率がどうのと、システムの不具合を放ってゲームを続行するシンジケートの思惑に乗る必要はない。
だが棄権するほどの反骨精神を見せるのは、キムらしくないか、と参戦はした。
時間の無駄だ。
「おい、アモール。 ヒマだろ?俺を追って来いよ」
知ってか知らずか。オクタビオの直接的な煽り。
乗るのも一興だろう。
下半身で考えたわけではない。
大きな音を立てて開けられ、そのままになっているドア。近づいて聞こえる音から判断すると・・・あのガキがいるのはおそらく二階。
一気に階段を駆け上がり、思ったより近くにいた人影を地面に押し倒す。
フィニッシャーの要領だ。
息が上がり、すっかりとろけているオクタビオの手が俺のベルトを外しにかかる。
「っは・・・やば。すっげー勃ってんじゃん」
(続きは誰か書いて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)