墓参りの話と伏線「……うん、うん、わぁっとるわちゃんと帰るわ、うん、わっちゃんも一緒。……はいはい、ほなな」
「……親?」
「うん。お盆ちゃんと帰ってこいて」
「あー……もうそんな時期かー」
「アルフは帰らへんの?」
「んー……。ちょっと……帰れねぇかな……」
「……ふーん……。まぁええんちゃう?」
「え?」
「イカそれぞれやろ。うみちゃんかて1回も帰ってへんしな」
「そうなのか」
「せやで。何やよう知らへんけど、家出少女──ちゃうわ、家出少年やでなあいつ」
「あー……それでたまに『家族とかどーでもい~』って言ってんのか」
「せやろなぁ。オトンと喧嘩して云々みたいな事言うとったけど、ウチらも細かい事聞いてへんねん」
「……お前らって、そういうとこあるよな」
「ん?」
「何つーの……他人の過去に踏み込まないっつーかさ、あんま詮索しないよな」
「あぁ……。誰かて知られたない事の10個や20個あるもんやろ」
「それは多すぎねぇか?」
「そら相談されりゃ協力でも何でもしたるけど、本人が言いたない事わざわざ聞くんも聞かれるんも嫌やん」
「……だから俺の事も何も聞かねぇのか」
「うん。アルフが本気で困っとって手伝てほしいんやったら、なんぼでも手ぇ貸すけどな」
「…………」
「別にええやん、イカそれぞれ生き方があって、やりたい事あって、事情やら何やらあって……そういうもんやろ」
「……そういうもんか」
「知らんけど」
「知らねぇのかよ!」
「いやだって知らんもんは知らんやろ。他人の過去に興味もあらへんし」
「……それもそうか」
「納得すんのかい」
「なんかどうでもよくなった」
「何やそれ」
「……実家帰らねぇぐらいでウデマエ落ちるわけでもねぇしな」
「ん?え??? そらそうやろ」
「なんかさ、実家とか墓とか、そういうの聞くと沈んじまって」
「ウデマエ割った時みたく?」
「そう」
「大変やなぁ」
「大変」
「……考えたないんやったら考えんでええんちゃう?」
「……そうかなぁ」
「せやせや」
「うーん……」
「ストレス発散しに行く?」
「どこに?」
「鮭」
「まさかの」
「今のシフトありえへんクソ編成やけど、嫌な事忘れられると思うで」
「荒療治が過ぎる」
「この世の終わりみたいな顔すんなや。行くん?」
「……行こうかな」
「よっしゃー」
「キャリーおねがいしまーす」
「たつじん400キープ勢に任しとき」
「頼りになる~。コジャケがな~、こいつがいなかったらな~~~」
「わかる~~……。でも案外、こういう雑魚っぽい奴が重要やったりするんよな」
「あぁ、ゲームだとたまにあるよな」
「そうそう、次回作で伏線回収されたりとかな、重要キャラに会わしてくれたり」
「さすがにコジャケでそれはねぇと思うけどなー」
「まぁな~」
「……どこ行くの?」
「……!」
「??? そっちに何かあるの?」
「…………」
「何もないよ?」
「……? …………」
「え……? あ、そっか……」
「…………」
「……そっかぁ……この方角にずーーーっと行くと、ハイカラシティなんだ」
「……?」
「……いつか行けたらいいね」