Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    RFuaka

    SD🏀の🦍👓メイン。偶に🦍🔥。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🍌 👓 💒 🏀
    POIPOI 12

    RFuaka

    ☆quiet follow

    大学二年生同棲済赤暮🦍👓
    私にしては珍しく現代設定。
    ☀️子ちゃん出てきます。

    甘い贈り物「バレンタインの催事コーナーぁ?」
    赤木は、木暮の予想を上回る驚きぶりを見せた。正に「素っ頓狂」と呼ぶに相応しい声を、赤木は上げた。
    「ダ、ダメ…かな?」

    明日は、大学のバスケ部の練習は休み。大学構内を入学試験場に使用するため、関係者以外は立ち入り禁止になるからであった。
    そこで二人は、明日、何処かに出掛けようか?と相談をしていた。
    「最近の百貨店のバレンタインの催事コーナーは、女の人が男の人に贈るチョコを選ぶだけじゃないんだよ。チョコがメインのあらゆるスイーツが集まっていて、スイーツのお祭りなんだ」
    木暮が、熱弁を奮う。
    「そ、そうなのか?」
    赤木は木暮の勢いに押されて、たじたじになる。
    「いや、しかし、男二人だけで行くところじゃないだろう」
    赤木は、ピシャリと断る。
    「確かに、男二人で行くのは目立つね。赤木の身長だと尚更だ」
    普通に街中を歩いていても、周囲から観察されることの多い赤木。男二人で行くのはちょっとリスキーだ…それは、木暮も十分に理解していた。
    「だから、もう一人、スペシャルゲストを呼ぶんだ」
    「ゲスト? 誰だ、それは?」
    「晴子ちゃん」
    ブッ!…赤木は、飲んでいたコーヒーを噴きそうになった。
    「ゴホッ…い、いつの間に、そんな根回しを?」
    「晴子ちゃんも、色々チョコが見たいって喜んでたよ。横浜も色々あるけど、都内のも見たいってさ。自由登校になって、時間もあるって言ってたよ」
    晴子は、二人の秘密の関係を知る、数少ない人物であった。ちなみに晴子は推薦で大学進学を決めており、既に受験生ではなくなっていた。三年生は二月になると、自由登校になる。
    「いいだろ? 晴子ちゃんも楽しみにしてるんだ」
    「…分かった」
    赤木は、渋々承諾したのだった。

    翌日。
    お目当ての百貨店の最寄駅で、赤木と木暮は、晴子と待ち合わせした。赤木が晴子と会うのは、正月に実家に帰った時以来だった。
    「お兄ちゃん、もっと実家にも帰って来てね」
    晴子は、ニコニコしながら赤木にそう言った。
    そして、木暮と晴子は早速意気投合し、チョコについて語り始めた。どのブランドのチョコがああだの、こうだの…。赤木は、その話題に全くついていくことができない。木暮と晴子が隣合って歩き、赤木はその後ろをついて行くことになった。
    …これじゃ、カップルとそのお目付けじゃねーか。
    赤木は心の中で不満を垂らした。が、このほうが側から見ると自然で都合が良いことに気付き、赤木は黙って二人の後ろを歩いた。

    催事場に着いてからは、なかなかの戦場だった。平日でも、かなりの賑わいを見せていた。
    木暮と晴子があれこれ話しながらチョコを買い、その荷物を赤木が持った。
    赤木の持つ紙袋が三つ目になったタイミングで、木暮が赤木に提案した。
    「ごめん、赤木。あの辺で待っててくれないかな? もう少し買いたいものがあるんだ」
    「ごめんね、お兄ちゃん」
    …まだ買うのか?…赤木は少々呆れたが、先程から周りの女性の視線が痛かった。
    壁際に立ってるだけなら、視線も少しはマシになるだろう…赤木は木暮に言われた通り、指定された場所に立って、木暮と晴子の買い物が終わるのを待つことにした。

    約十五分後。
    「ごめん、待たせて」
    木暮と晴子が赤木のほうにやってきた。木暮と晴子の手には、ソフトクリームが握られていた。木暮の両手に一つずつのソフトクリーム、晴子の右手に一つのソフトクリーム。
    「これ、そこのイートインスペースのテーブルで食べよ」
    木暮は率先して、イートインスペースの正方形のテーブルを一つ確保し、三人で囲む。赤木はテーブルの上に、預かっていた荷物を乗せた。
    「はい、どうぞ」
    木暮は右手を差し出して、赤木にソフトクリームを手渡す。木暮の持っているソフトクリームはいずれもチョコレート色のクリームがチョコレート色のワッフルコーンの上に巻かれたものだった。一方、晴子が手にしているものは、紙カップにピンク色のクリームが巻かれたものだった。
    「木暮さん、お兄ちゃんはこれが好きそうって、一生懸命選んでたんだよ」
    晴子が背伸びして、赤木の耳元で囁いた。
    「なっ…」
    赤木の耳たぶが赤くなる。
    「晴子ちゃん、赤木に何言ったの? 早く食べないと溶けちゃうよ」
    「うん、いただきまーす」
    晴子がスプーンでストロベリー味のクリームを掬ったのを合図に、赤木と木暮の二人もそれぞれのソフトクリームにかぶりついた。
    「これは、コーヒー味か?」
    木暮が赤暮の問いに対して、返事をする。
    「うん、コーヒーチョコレートのソフトクリーム。甘さ控えめで美味しいだろ?」
    「ああ、美味いな」


    帰宅後。
    「今日はなんか、色々とごめんな」
    木暮が、赤木に詫びた。木暮は、赤木が座っているソファの隣によいしょっと腰掛ける。
    「赤木、晴子ちゃんに嫉妬した?」
    「そ、そんなワケないだろう」
    赤木は鼻をフンッと鳴らして、ムキになって否定する。
    「安心して。俺が好きなのは、ただ一人だけだから」
    木暮は、手に持っていたチョコを一粒口に入れて、赤木の唇にキスをし、チョコを口移しで赤木に渡した。
    「……!? な、何をっ!」
    赤木が真っ赤になり、手で口を抑える。
    「食べてみてよ」
    赤木は木暮に言われるまま、チョコを歯で砕き、ゆっくり噛み締めて食べ始めた。
    「…美味いな」
    「だろ?」
    木暮は赤木に、サムズアップしてみせた。
    …木暮には敵わないな…そう思う赤木であった。

    (おしまい)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works