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    佐古@原神

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    のくたの諸々倉庫

    DONE「俺たちだけのかみさま」/転生話。死ネタなど含みます(+時事ネタ)

    後で色々修正して支部に上げるやもしれません。何でも許せる方のみどうぞ。
    その男はただ、岩のように目を閉じていた。
    「……ねえ、お兄さん大丈夫? 生きてる、よね」
     その様子を見かねてか、声をかけたのは茶髪の青年だ。腕組みをして道端に1人、微動だにしなかった男の目がゆるり、と開かれる。
    「ああ、生きているぞ」
    「よかった、さすがに立ったまま死んでる……なんてことはないと思ったけどさ」
    「……ふむ、お前はひとつ、失くしものをしているな?」
    「へ……」
     言われて青年は、深海の瞳をひとつまたたく。どうして、とこぼれたその言葉が、続く理由で問いになるのを待つ間──男こと鍾離はふと、とあることを思いついた。
    「よく分かったね、お兄さん。俺この辺りについては詳しくないんだけどさ、どうしてかずっと……うん、それこそ生まれてからずっと、ここに大事なものを落としたような気がしてて」
    「そうか、ならば俺も……お前と一緒に探し物をしよう」
     言うなり鍾離の体から、ふわりと光が浮かんでは消え──青い瞳の青年が呆然と見守る中、それらが全て宙に消えてから、「それでは行くぞ」と背を向けた。
    「……お兄さん、今の何?」
    「鍾離だ。大したもの……ではあったが、俺が持っていると不公平になるも 9750

    のくたの諸々倉庫

    DONEそのまぼろしは既に遠く/鍾タル

    転生したけど先生だけ記憶ないよ! っての大好きなんですよね……Twitterのヘッダーにもしてます。
    一度閉じたはずの目をもう一度開いたとき、俺がいたのは神のいない世界だった。

    「はじめまして、だな」
     それでもきっと、俺はどこかで期待していたのだろう。あのひとはきっと生きていて、俺のことを憶えているものだと。
    「俺は鍾離という。名前を教えてくれないか」
    「……アヤックス、です」
     前世培ったものがなければきっと、声が震えていただろう。忘れもしない彼の姿を目にして、素直に喜ぶことができない理由は──既に分かりきっている。
     憶えていないのだ、彼は。
    「……すみません、ちょっと忘れ物したみたいで。取りに行ってきますね」
     これから通うことになる大学と、若くしてその教授であるという彼。たったそれだけのことのはずだった。けれど俺にとっては、ああ、ああ。
    「……なんにも憶えてない、かあ……」
     息が切れるまで走って、人気のない場所でしゃがみ込んだ。そうしてこぼれたのは決して涙ではないけれど、いっそ泣くことができたらもっとましだっただろうか。
    「……はは、なんだろなあ」
     どうしようもない。あの場所にいたのはただの鍾離先生であって、俺の知る元岩王帝君ではないのだ。
    「案外ショック、だな……」
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