窓から差し込む月あかりが、隣で穏やかに眠るルカの顔を照らす。なんだか既視感を覚える光景に頭を巡らすと、今の今まで忘れていた幼い記憶が脳を掠めた。
小学校に入るくらいの歳の頃、寝つきの悪い日が続く時期があった。目を閉じても眠くない、ようやく眠れたと思っても少しの物音で目を覚ましてしまう。その夜は特にタチが悪く、煌々と世界を照らす満月の光は一度目覚めた意識をふたたび眠らせてはくれなかった。もうどうしても眠れないからと寝転がることすら諦め体を起こし、隣に眠るルカのことを眺めていた。スースーと規則正しい寝息に合わせて上下するルカの胸部を見て、自身の片割れが生きていることに安堵感を覚えた。そうして穏やかに眠るルカのことをじっと見つめているといつの間にか月あかりは差し込む角度を変えていた。
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