深夜の即席『原映妄言物語』原「〜♪〜♪♩〜···♬······。うーん···」
映「あれ、どうして急にハーモニカを吹くのをやめたんだい」
原「······なんだ、聴いてのか、映」
映「途中からね。釣りから戻って来たら、原くんのハーモニカの音色が聴こえてきたからさ」
原「何か違う······」
映「え」
原「この音色じゃない」
映「ちなみに今のは···、ムーミンに聴かせる新しいしらべかい」
原「そう。途中までは良い感じだけど、そこから先がピンとこないんだ」
映「なるほど、手詰まりしてるってわけか」
原「ぼくだって、毎回スラスラと思い描いた音を全部拾えるわけじゃない」
映「まぁ、そういう時もあるよねぇ···。そうだ、ちょっと待ってて」
(タタタ···)
映「お待たせ」
原「急にテントに入っていくから何かと思ったら···。それはお前のハーモニカじゃないか」
映「ふふ。正解僕も一緒に、新しいしらべの続きを考えるよ」
原「······(目を見開く)」
映「たまには2人で考えてみるのも良いんじゃないかと思ってね。それに、このまま完成しなかったら、いつ君がムーミン谷に帰れるか分からないしさ(クスクス)」
原「······ぼくをからかって楽しいか、映」
映「うん、とても楽しいよ(ニッコリ)」
原「はぁ···。まぁいいや。それじゃあ、よろしく頼むぜ」
映「うん、任せて」
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原「〜♪〜♪♩♬──ふぅ···」
ム「わぁ···今回のしらべも素晴らしかったよ、スナフキン」
原「ありがとう、ムーミン」
ム「ねえ。いつも思うんだけど、どうしてそんなに綺麗な音色が思い浮かぶんだい」
原「んあぁ···。いつもは鳥のさえずりや周囲の草木のざわめき、それに風の音を聞いていたら自然と頭の中に音が思い浮かぶのさ。でも···」
ム「でも···」
原「今回は、ぼく1人で作ったわけじゃないんだ」
ム「それは、旅の途中で誰かと一緒にあのしらべを作ったということ」
原「あぁ、そうさ」
ム「へ〜、凄いなぁ〜でもぼく、その人が羨ましいよ」
原「どうして」
ム「だってその人、スナフキンがここへ来るまでの間、ずっと一緒にいたんでしょきっと、楽しかったんだろうなぁと思って」
原「”楽しい”、か······」
ム「どうかしたのスナフキン」
原「うん···。あいつと一緒にいる時、ぼくはきっと楽しいのだと思う。道中、一緒にいるのが当たり前すぎて、あまり意識した事はなかったけど。あいつも、同じ事を考えていたりするのかな······」
ム「(スナフキン、なんだか嬉しそう)」
原「今度また会ったら、あいつに改めてお礼を言わなきゃいけないな。”ムーミンが喜んでくれた”って」
ム「 その人、ぼくのことを知っているの」
原「ははっ、そうだなぁ。ぼくの次に、君のことをよく知っていると思うよ、ムーミン」
おしまい🤗☆(笑)