呼び方「少しいいかな」
その髭切は萬屋で声をかけて来た。
会計列が混んでいるので、主の会計を待って店の入口にいた時の事だった。
「なんで主の事を小鳥って呼ぶの」
「君の本丸に私はいないのか」
「うーん、中継の間に少しだけ」
どうやら髭切の主は臨時で派遣される審神者であるらしい。
山鳥毛がいる本丸でなければ、何故そうなのかはわかるまい。
「ああ、昔の言葉だが、一団の長の事を部領使 (ことりづかい) と言うのでね」
「つまり、山鳥毛の言う小鳥は小さい鳥じゃないって事なんだね」
「まぁ、私は鳥に例えた物言いをするのでね。
どの私にとっても主は私には可愛らしい小鳥のようなものだ」
会計を終えた主が歩いて来たので、つい手を振ってしまった。
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