惚れ薬シカライシカ 惚れ薬、なんて馬鹿げたものを何故飲まされたのかというと、それも本当に馬鹿げた話で、何やら俺に好かれたい女子というものがあり、俺の好きな梅昆布茶に薬を仕込んで渡してきて、警戒心ゼロの阿呆な俺は何の疑いも無くそれを飲み干したのだが、たまたまそこへ姿を表したのがライドウ先輩という人で、とにかくこの人は間が悪いというか運が悪いというか、決して性根が悪い人ではないにしても、そうやって何かのめぐり合わせが悪いところがたびたびある人であり、この日もつまり惚れ薬を飲まされた俺の目に真っ先に入ってきたのがライドウ先輩だった。
俺に好かれたかったらしい女子、俺は名前も知らない彼女は何やらライドウ先輩に文句や悪態をついてその場を去り、まあ後々上層部から厳重注意を受けたらしいが、その文句や悪態からライドウ先輩は俺に何が起きたのかを察してくれた。もちろん、その前に俺がはっきりとこの人に、なんかよくわからねえけどアンタが好きです、と生まれて初めての最低な愛の告白をしたおかげでもある。
19451