視点 完 見せてよ「悠仁、結婚しようか」
左手薬指に通した指輪とその言葉に、大粒の涙を流して喜んでくれる彼。本当に愛おしい。
僕がこんなプロポーズの言葉を持ち合わせていたなんて、きっと誰も想像できなかっただろう。自分でも驚いている。
僕を変えてしまうくらい、僕の中で彼の存在は大きかった。
「もう!先生大好きー!」
数年前に聞いたその台詞。卒業式のときに逃してしまったそな台詞を、やっと捕まえられた。
「ずっと側で見ているよ」
と薬指の指輪にキスをする。
潤った瞳から、また溢れそうになる雫を堪えて笑う彼は、朝から幸福感を満たしてくれた。
◻︎◻︎◻︎
彼と再会したその時に、もう手放さないと決めた。
ずっと欲しかったんだ、こんなチャンスは二度とない。
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