若頭補佐と補佐犬の邂逅「カラ松兄さん、お手」
「カラ松兄さん、おすわり」
「カラ松兄さん、ほれ、おやつあげるからあれやって。ちんちん」
「カラ松、ちんちんじゃ、ちんちん」
楽しそうに吠えながら、その場でくるくると回る灰色のボディ。
「よしよし、ええ子じゃなぁ~」
おそ松は笑顔でそのふわふわとした毛並みの背中と、嬉しそうに揺れるしっぽの付け根を撫でた。
「ほんにかわええのう、カラ松は」
松能家の畳の大広間。
兄弟たちがこぞって、灰色のボールみたいなまるい犬に芸を教えている。
その犬は元気に吠えながら、短い手足を使って一生懸命芸をして、おやつのクッキーをもらっては喜んでいた。
「……………」
その様子を、松能組若頭補佐である「カラ松」は冷めた目で見降ろしていた。
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