【夢でもし逢えたら 四夜目 すれ違いの夜】「「あれ?寝てる?」」
神代一人と富永研太は共に幽体離脱ができる特異体質持ちである。双方共にやっと自覚を持った。明晰夢ではなく、実際に現地へ何度も行っていたらしい。
神代は人智の及ばぬ所もあるだろうと現象自体は自然体で受け入れた。むしろ己の言動に動揺し、ふと思い出しては固まっている。
富永は何とかこの現象を自在にコントロールできないものかと、日々研究と実験にいそしんでいる。
いつこの夢で会えるのか、本人たちにも分からない。
なので、お互いのタイミングが重なってしまう夜もある。
「もう休んでいたのか。……長く眠れるようで良かった」
パジャマ姿で横たわる富永がいるベッドの縁に、ちっちゃな神代一人がふわりと現れた。
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