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    18toririririri

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    18toririririri

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    梅雪姐さんの小噺

    百花の魁「梅さん」
    「……ん? おー阿■、元気してたか?」
    「元気してたか、じゃないですよ。いつの間に女主人になってたんですか」
    「ああ、いやなあ」
    ぷかりと煙管をふかす。
    「ここの前の主人がな、花魁が主人になれるまでの間ここを頼んだっつって死んじまってなあ」
    「錨だったんですか」
    「いいや、ただの友人さ」

    「で、なにか?まーた後始末か?」
    「あー……はい」
    「よしよし、営業始まる前にちゃちゃっと片付けに行きますかね」
    「よろしくおねがいします」


    = = = = =

    ふと思い立って姐さんのことでも。
    この小話は友人だった遊郭の主人に頼まれてしばらく女主人を請け負った姐さんの話だったような。

    あと、どっかで書いたような気がするのにどっか行った姐さんの"夫"の話。梅妻鶴子の人です。
    毎日自分を妻と呼んでくれたから、という意味での夫。この人にはほとんど姐さんの姿は見えていなくて、姐さんはただ愛してもらうだけだったのかなあと。

    姐さんが獣領域じゃなく歌領域なの、花そのものではなくて「今まで梅という概念に注がれてきた感情」から生まれた存在で、特に漢詩や和歌で作られた人だからと考えています。だから花そのものよりもっと概念的で、梅雨のイメージも含むし、梅毒なんかのマイナスイメージも含む。人がいなければ梅という概念に感情を注ぐものも居なくなるわけで、だから姐さんは人を守ることを第一に動いています。さらに言うと魔法使いだけの世界もあまり望んでいないです。そういう情緒がある方が珍しいまでありますし。自分を愛してくれた全ての知的生命体に等しく愛を返そうとするし返してしまう生き物。だから動物などには基本淡白です。

    愛の女であり、一生自分の恋が叶うことは無い女。
    人は花(自分)を愛してくれても、花(自分)に恋することは無いから。
    もちろん魔法使いとしての見た目に恋してくれる人はいるかもしれないけれど、本来の自分(概念)に姿形などないから。
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    18toririririri

    DOODLEセオドア・モルスとソフィア・アンブロージア・モルスのはじめましての話。
    ちまちま書き足すと思われる。


    よあけほのかのこ
    夜明仄かの子XXth September 1995
    我らが親愛なる明けの君、セオドア・アンブロージア・モルス様

    夏も過ぎ、空に牡牛座の輝く季節となりました。
    叔父上はいかがお過ごしでしょうか。

    我らが新たに先祖の祝福を受けた子を授かり2年となります。
    来年の春、湖水地方を望むカントリーハウスにて、3歳の誕生日の祝賀会を行うこととなりました。
    ご出席いただける場合は、絵葉書で構いませんので返信をいただけると幸いです。

    それではお待ちしております。

    敬具
    エリック・モルス



    「……ハァ」
    「どうしたのテオ、そんなに封筒を開いたり閉じたりして」

     大法典の教育機関である、アーデンの森に囲まれた魔法学校「学院」。
     その教員用の研究室の一つで、物理天文学を主に担当している魔法使い、セオドア・アンブロージア・モルスは二人掛けソファにもたれかかっていた。指先では今朝方届けられた手紙を弄んでいる。それを尻目に、対面のソファでチェスの駒をいじっているのもまた、学院で教鞭を執る魔法使い、人の世の名前で遊馬柊であった。手慰みにラジオから聞こえるチェスの試合を盤面上で再現していたものの、ゲームクロックを叩く合いの手かのようなため息に質問を投げてみることにした。
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