コインランドリー4あいつを初めて見たのは、いつだったか。
毛布を洗うために隣のコインランドリーに行ったのが始まりだったと思う。
ガランとしたコインランドリーで彼は一人、椅子に座って静かに本を読んでいた。
ゴウンゴウンと洗濯槽が回る音。
窓から差し込む陽光に金髪が透け、赤みを帯びた瞳が妙に美しかったのを覚えている。
話すことはないし、目が合う事もない。
ただ、外国人のように淡い色合いの彼を見かける度、自分の中でどんどん気になる存在となり。
そのうち洗濯機で洗えるものまでもコインランドリーで洗うようになってしまった。
我ながらなかなか気持ち悪い事をしているという自覚はある。
だけど、彼に会えるかもしれないと思うと自然に足が向いてしまう。
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