20.審判(ヒュンケル/ランカークス村)〜勇者来来「勇者が来るぞ」
「勇者に拐われるから魔城の外に出てはならんぞ」
懐かしい仲間たちと父の声が地底魔城の地下深く、より安全な階層に設えられた子ども部屋に木霊する。
この世に生をうけ二十年余りの人生で最も満ち足りていた日々。
ヒュンケルがまだ子どもでいられた時代の思い出だ。
「暗くなる前に帰んなさい!夜になると魔物がくるよ!」
黄昏に急かされるようにランカークス村のポップの家へ急いでいた時、ふいに聞こえてきた母親らしい女の声と子供の甘え混じりの悲鳴を聞いてヒュンケルとダイは足を止めた。
ヒュンケルが声の主はと先を覗うと見当に違わず若い母親と4〜5才の男の子が寄り添っていた。
半ば開いた扉から暖かな光が漏れ夕食ができているのだろうシチューの旨そうな匂いが漂う。
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