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    しろい墓

    @trpg_shiroosan

    主にらくがき倉庫。うちうち/うちよそ/たまによそよそさんのSSなど
    フォロワーのよそのこを高頻度でお借りしています。フォロワーとフォロワーの子、いつもありがとう

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    しろい墓

    MOURNINGうちうちSS。聖理と紅寧ちゃんの話。
    ⚠初恋性、巡あい未通過はちょっとだけ注意かも
    ⚠一応うちうちですがうちよそ匂わせがあります
    とある先輩と後輩の、解けない魔法とかいて呪いと読むお話
    哀は揺るぎのない愛を呼ぶ


    「……あれ、」
     ぽつり、彼は呟いて顔を上げた。淡く優しいパステルカラーの紫色が咲き誇る花畑のなかで、くるくると髪に結んだリボンを翻す彼女を見つけて。誰かをささやかに待つように、あるいは幸福を願うように、祈るようにひらひら舞う彼女はさながら絵本に出てくるお姫様みたいだと思いながら、けれどどこか今にも転んでしまうのではないか、なんてちょっとだけ心をひやひやさせて、
    「あーちゃんせんぱい? そんなにしてたら転びますよ、あなた眩暈持ちでしょう」
     声が聞こえているのかいないのか、眠るように目を閉じて、微笑みながらくるりくるり。メルヘン思考もここまで来たら危なっかしいと痺れを切らして、
    「紅寧ちゃん先輩!」
    「わっ、……びっくりした。……聖理くん?」
    「はぁ。そうですけど、なんかその呼び方は……うーん、俺たぶんもうアレなんで、会ったばっかりの時のほうで呼んでくれますか?」
    「? べつに良いけれど……どうして?」
    「あー……いや、なんというか……こだわりです。線引きというか」
    「そう。……東野君。どうしてあなたがここに?」
     紅玉の瞳をきらきらさせて、彼女は純粋無垢 1663

    しろい墓

    MOURNINGうちよそSS。しょうひか。
    光理ちゃんはフォロワーのお子さんです
    つよいひと


     彼女が、頬や腕なんかに細々とした傷をつくって帰って来た。

    「……ちょっと、」
     さながら「疲労困憊」と書かれた背を向け靴を脱ぐ彼女に言いかけて、代わりに俺はため息を吐くことだけに抑えたのち、とりあえずはと口より先に救急箱を出して戻ると光理はリビングのソファに移動していた。何も言わないまま、俺は光理の横に座り込む。
    「これ、どうしたの」
    「いやあ、その……酔っ払い囲んでたらいきなりそいつが手上げてきて……」
     腕を出すようにすら言う前にぐい、と軽く光理の腕を引いてようやく口を開けば、動いた袖口からほんのり赤い線が引かれた素肌を視認した。
    「別に、ただの切り傷……か擦り傷だろうし、大丈夫だよ」
    「わかってるよ、そんなこと。俺が大丈夫じゃないの」
    「気持ちは分かるけど気にしすぎだって」
    「嘘だ」
    「……」
     袋に詰められた綿球をひとつ取って、消毒液を染み込ませる。少しの間を置いてからそれを赤線のうえにあてがえば、てきぱきとした俺に思うところがあったのか彼女は笑みを崩さないまま意味ありげに患部を見つめているので、
    「正直に言って」
    「……ちょっと、痛いです」
    「……」
    「痛 2424

    しろい墓

    MOURNINGうちよそSS。つばるみ。
    留美ちゃんはフォロワーさんのこ そのうちリメイクしたいと言っていてとうとうできていない(小並感)
    しあわせ描き


    「ねえ」
    「うん、なあに?」
     とある日の夜。はじめこそ慣れていなくて"モドキ"感の拭えなかった親子丼を作るのもすっかり板につき、あいするひとのお腹を膨れさせることに成功した椿は、彼女の「たまには私がお皿洗うから……!」なんて声も押し切ってシンクに水を流していた。やることを探していたんだろうか、それからはすこし心配そうな表情をしながらも自分のスマホをいじっていた留美は、ふとその手を止める。
    「椿って、まえラテアートつくる仕事してたんだよね?」
    「うん」
    「今もできる?」
    「……あー、まあ。しばらくやってないから前より下手になってると思うけど、作れると思うよ」

     いつかは聞かれるだろうなと思っていた。

    「ほんと? じゃあ、作ってほしいな! 私、椿の作ってくれたラテ飲みたい!」

     あと、いつかはこんなお願いをされるんだろうなということも、うすうす勘づいてはいた。

     嫌だというわけではない。……いや、そこにある幾多の思い出は必ずしも悪いものじゃなかったのだから、自分の愛したラテとずっと自負していた手先の器用さを活かせる仕事に罪はないのだけど。でも、あまりに、「悪い」 2107