喜劇の幕間 ファフニールの呪詛がジークフリートの身体を犯しつくすまでの数時間、身を潜める必要があった。
敵は死にものぐるいでジークフリートを取り返しにくるだろう。何しろ、救国の英雄である。国を守る要とも言えるその力を、そっくりそのまま利用して国を滅ぼすというのは、意趣返しとしても出来すぎているように思えた。
飛竜を操り、空からブルグント地方を見渡せば、すぐに廃村が複数見つかった。
グンターは適当な民家を探し、戸口に手をかける。自ら安住の地を求めて出て行ったのか、追い立てられたのかまでは分からないが、その家の住人は、比較的落ち着いて出て行ったのだろう。手入れされていない埃っぽさはあるものの、一見して価値のあるものはなく、荒らされた様子もない。見つけた寝台に気を失っているジークフリートを投げ出して、窓を開くと、季節はすっかり巡っていた。
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