まさに甘美なる、シルバーアッシュの舌先。
触れた唇は溶けてしまいそうなほど熱いのに柔らかかった。
毎日座っている執務室のソファ。しかしシルバーアッシュと向かい合って座り、唇を貪りあう今、普段と座り心地が違ってフワフワと浮かぶような気がする。
「あ、あぁ…」
漏れた情けない声を素通りさせ、蕩けそうな脳で考えた。
キスしたときに混じる唾液だけで、これほど甘くて美味しいなら血はどれほどなのか…と。
シルバーアッシュの血を啜ったら一体どうなるのか、未来はよく分かっている。
きっと堪らなくなり、全ての血液を吸い尽くしてしまうに違いない。
目の前で、ぐったりと項垂れるシルバーアッシュの姿が脳裏にチラついた。
それだけは絶対に阻止しなくてはと、高ぶる興奮を抑え込もうとする。
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