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    itigatsu

    うた腐り那翔文字書きです

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    itigatsu

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    那翔でブーケトスのお話

    ブーケトスそれは早乙女学園時代の友人の結婚式帰りのことだった。
    彼は珍しくも数少ない那月との共有の友人で。共にスケジュールを調整して参加した事もあって新郎新婦に向けられるよりもこちらにカメラが向けられていることが多くて、なんだかごめんと何度も新郎と目が合うたび手を合わせ。
    二次会にも参加予定だったが、流石にこれ以上晴れの日の邪魔はしたくないと、急遽キャンセルさせてもらった。
    「ドタキャンはダメですよー」
    「って、おまえもじゃねーか」
    帰路で掛けられた声。振り向きもせずに答えれば、ととっとヒールの鳴る音がして隣に那月が並び出す
    「みんな僕らの事を見ちゃうから」
    「だな。嫁さん見てやって欲しいよなぁ……また改めて謝罪と祝いと両方しとくか」
    「そうですねぇ……あぁ、でも花嫁さん綺麗でしたね。ブーケトスも用意されたお花綺麗でした」
    「あぁ。そういや、あれ誰が取ったんだ?俺、ちょっと見えなかったんだ」
    聞きつつ横を向けば、ほんの少し髪を結んでいつもとは少し、ほんの少し雰囲気の違う那月が笑みを向けてきた
    「なんだよそのなんか企んでますって笑顔」
    「企んでないですよぉ」
    「嘘つけ」
    「……彼はね、僕らの事を知ってる数少ない友人じゃないですか」
    「……え……あぁ、まぁ、そうだな」
    早乙女学園時代から続く関係。恋人という誰にも言えない秘密の関係。
    今日の新郎はその秘密を知っている。学園時代ひょんなことからバレてしまって、だけど誰に言うでもなく彼はずっとずっと心に秘めてくれていた。アイドルとなり、ST☆RISHを名乗るようになり、国民的アイドルと呼ばれるようになってもなお、彼はその情報を金にすることもなく心に秘め続けてくれていた。
    「はい」
    「へ?」
    差し出された小さなブーケ。それは花嫁が投げたブーケ
    「おま、お前が取っちゃダメだろ!」
    思わず声を大きくすれば、那月はしーっと指先を立てた後小さく笑ってきた
    「これは新郎から僕らにです。新婦からのブーケは彼女のお友達の手に行ってます」
    「新郎から?」
    「結婚は新婦だけのものじゃない。新郎のものでもあるんだ、それなら新郎が次の新郎になる人にブーケトスしたっていいだろ?だって」
    「次の新郎……お前が?」
    「……ほんの少し前に話をしたんです。彼と……もう一歩進む時期なのかなって……公的な書類とかはできないけど、だけど言葉にすべきなのかなって」
    「……おまえ、まさか」
    「僕、次の新郎になっちゃダメですか?一緒に新郎になってくれませんか?」
    差し出されたブーケ。よく見ればそれは赤い薔薇が9本とそして青い薔薇
    パチクリと瞬いて、そうして自分はいつから花言葉に詳しくなったのだろと首を捻る。
    きっと星座が好きなロマンチストな彼に合わせて、何か自分もロマンチックな知識を持ちたいと思い始めたあの頃だろう
    「公的なことは何も出来ないから、だから、何も変わらないと思う。でも、何かを変えたいとは思うんです……受け取ってくれませんか?僕の新郎、そして新婦様」
    真っ直ぐに告げられる言葉。翔は僅かに唇尖らせた後、人の幸せに便乗してんなと苦笑いこぼしつつブーケに手を伸ばした。
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