『翔ちゃん、夕飯一緒に食べませんか?』
仕事中に届いていたライン。
隙間時間に確認して、頭の中で捲るスケジュール帳
「少し遅めの時間でもいいなら」
返せばすぐに返事は返ってきた
仕事中じゃないのか?と首を捻りつつ確認すれば、『何時頃?』と短い文面。
仕事を終えて移動して、考えて思いついた時間を送ればまたすぐに返事が返ってきた。
那月にしては早い即レス。待ち構えてるんだなと気づいて苦笑を一つ
『中華を食べに行きたいんです』
「中華????」
那月が中華なんて珍しいなと思った。
普段あまり提案してこないメニュー、よほど那月の気を引く何かがあるということだろうか
これは期待できそうだと、OKのピヨちゃんスタンプを押せば、マジンダーがパンチを繰り出すスタンプが返ってきた。
『麻婆豆腐が食べたいです』
スタンプの後の言葉にふむと唇尖らせる。やっぱり那月が選ぶにしては珍しいテイスト。
『激辛で』
パタパタ羽を仰ぐピヨちゃんのスタンプ。
なんとなく一連の流れに引っかかり覚えはしたものの、それよりも提案内容の物珍しさが優って、何故?の気持ちはすぐに消えて、楽しみという気持ちだけが残った。
『また夜にね』
「おう、楽しみにしてる」
締めの言葉に返事して、それからまだもう少し呼ばれそうにないなと開いたTwitter。
「ん?なんか祝われてる?」
トレンドに上がった自分の名前、なんだと開いてみれば周年祝い
「……あぁ!!」
それで気がついた。
さっき感じた引っかかりにも理由が見えた。
そうだ、今日はそういう日だ。
そうして合点がいく。那月が中華を、激辛の麻婆を食べたいなんて言ったことに
「あいつ……」
隠されたおめでとうの言葉。
おもわず頬がにやけそうになって、慌てて顔を押さえた