長い時を生き沢山の経験をしてきたつもりであったのに、思い合う相手が小さく柔らかな生き物になってしまった場合の対処方法について何も知識を持っていなかった。
「司令官、何かご不便は……いや、沢山ありますよね。ホイルジャックは3日ほどで戻ると言ってはいましたが」
「私は大丈夫だ。マイスター、君には苦労をかけるが」
「そのようなことは」
「せっかくの機会だ。君と同じように、私もこの体で地球の文化を学んでみようと思う」
心配は尽きないが、変わらぬ前向きな発言に多少心が軽くなる。
「それにしてもマイスター。君の顔が遠いな」
近寄り跪いてみても、地球と同じ色をした青い瞳はまだ下にある。
その視線はいつでも上にあったはずなのに。
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