来世でもきっと見つけるⅡ 春の王が寝物語に聞かせてくれた話。
昔々、それはもう遥かに遠い時代のこと。国は現在の春、夏、秋、冬の四カ国ではなかったそうだ。今はもう海の底に沈んでしまった。しかしかつては大陸があり、五つに分かれた各々の土地で、さまざまな生活があったのだと王は言う。すべての国にそれぞれ見た目は魔法使いそっくりの、『人間』という生きものも暮らしていたらしい。
人間。
ある一定の年齢(その者の魔力が熟したとき)に成長が止まり、数百年、数千年と生きる魔法使いに対し、人間の寿命は切ないほど短かった。
どんどん老いて小さくなり、大半が百年も生きずに生涯を終える。瞬きする間に過ぎる一生だ。もし親しくなったとしても、あっという間に別れが来てしまう。人間の友達がたくさんいたら、いつだって魔法使いは見送る側。何度味わっても慣れることのない寂しさだろうなとひっそり思った。
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