青い瞳と黄色い瞳「あ、メユリさーん!」
その明るく鈴の鳴るような声には聴き覚えがあった。タンク街の服屋でめぼしいものを物色していたメユリが振り向くと、遠くの人混みの中から、ひょっこりと揺れる明るい髪が見える。自分より少し黄色みが強い橙色を三つ編みにした少女が義手の手を大きく振っていた。
「ナツメじゃん!やっほー!」
メユリもまた手を振る。それを見て少女は嬉しそうに駆けてきた。人懐っこくて可愛いな、とメユリは笑った。
ナツメという名の少女は、ついこの間地下での戦闘で知り合ったタンカーだ。ギアのメユリとはそんなに顔を合わせる機会は無いように思われたが、意外とすぐに再会できるものだ。デカダンスは入ってみると広いようで思った以上に狭い。
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