桜「もしもし〜」
高「HELLO〜」
桜「HELLO〜」
高「HELLO〜」
桜「イエーア アロハ~」
高「イエーじゃねーよ。アロハ~じゃねーよ」
高「なかなか良いですね。まさぼん」
桜「まさぼ〜ん?」
高「なかなか良いよ。やっぱ天才だよ。あなた」
桜「いやぁ、んなことないよ。」
高「急にやれって言ってすぐにできちゃうの、すごいね」
桜「いやぁ、できてないよ。俺なんにも把握してないもん、だって」
高「いやいや、把握してないほうがいいんじゃね?」
桜「そうかもねえ。いや、いつもさ、坂崎と高見沢がリードして、合いの手入れてるだけだから、何分までにどうしてくださいって言われたってさ、俺困るよ、俺電車の運転手じゃないんだし」
高「で、電車の運転手さんって」
桜「だって時間にきっちりじゃない」
高「まあ、そうですけどね。なかなか聞きやすいですよ。」
桜「ありがとうございます。」
高「あなたお元気そうですね」
桜「そうなんですよ。」
高「良いですよ。それは」
桜「今朝びっくりしてね。寝耳に水って言うのかなあ」
高「え〜寝耳に水って言いづらいなあ」
桜「ねえ」
桜高「ねみみにみずむみずみずうち…」
高「ねみみにみみず…みみずになっちゃったよ。おまえ」
桜「もうお互いに滑舌良くないんだから」
高「良くないね。やめようね」
高「ねえねえ、そういえばさあ」
桜「はいはい」
高「昔おまえとよく行ったさあ、渋谷の焼き鳥屋。鳥竹」
桜「うん。鳥竹」
高「まだやってるんだぜ。知ってる?」
桜「お前行ったの?」
高「え?あそこから取り寄せて食べたの」
桜「ほんとに〜?」
高「そうそうそう」
桜「あれ?Uberかなんかで?」
高「違う違う違う。あの…ディレクターに、買いに行かせて」
桜「はっはっはっはっ(笑)」
桜「だけどさあ、何年か前に見たことがあるけど、きれいになっていたよ。」
高「あ、そうなんだ」
桜「おまえ行ってないのか」
高「いや、行ってはいないんだよ。大体の場所はわかるけど。渋谷変わっちゃってるじゃん、だって」
桜「いや、おまえが今渋谷に行ったら絶対に道に迷う。俺も間違ったもん」
高「いや〜わかんないよ」
桜「俺、東横線の駅から、ヒカリエってあるじゃない、あそこから出たらさ、方向がわからなくなっちゃって。なんとかハチ公探そうったら、一回りしたんだせ、渋谷の駅」
高「いや、昔のイメージがあるからね。東横線があってさ。なんかこう、伝わる…こう、なんつーの、電車道じゃねーや、東急文化会館に行く道とか、階段を降りていくとことかあったじゃん」
桜「そうそう。あったけどね」
高「でも位置は…鳥竹の位置は変わってないんだよね。」
桜「変わってないんだ」
高「そうそう」
高「あそこのさあ、覚えてる?あそこの焼き鳥、すごくでかくなかった?覚えてない?」
桜「んん…どうだろう…」
高「大きかったんだよ。」
桜「え?」
高「大きかったのね 」
桜「大きかった?」
高「それで覚えるわけ。大きくて」
桜「おまえ大きいの好きだからな」
高「そうそう。それでさ、何で大きいのか、わかったんだよ。」
桜「うん」
高「あそこね、鰻屋さんなんだよ。」
桜「鰻屋?」
高「鰻も。鰻も焼いてんだよ。でね、鰻の串で焼き鳥も一緒に焼いてんだよ、だから、でかいの。串が」
桜「なぁ、そうなの」
高「普通串って小さいじゃない、焼き鳥の串って。」
桜「そうだよお」
高「それがでかいんだよ。だからあんな大きいサイズのさ」
桜「でも懐かしいな。よく行ったな」
高「よく…まあお金があるときだけどね」
桜「もちろんだよ」
高「もちろんね。あそこはね、ちょっとね、あれだった。我々にはちょっとね、高かったからね」
桜「そうだよね。あそこでさ、升酒…?」
高「そう!!!!!!(エクストラストロングハイトーンボイス)」
高「升酒!」
桜「おまえの親父さんが確かやるってんでさ、塩を横に…」
高「塩を横に置いてな」
桜「そう。それもさ、塩をさ、こう、摘めないでさ、瓶に入ってるから。あれを一旦手のひらに出して、それをこう、摘んで、角んとこに乗せるんだよな」
高「そう。乗せてな」
桜「で、飲みながら、ぺろっと舐めながら飲むんだよな」
高「それがもうね…最高だったな、当時ね」
桜「いやあ、でも今は殆ど日本酒飲まなくなったしな」
高「いやあ、あなたは飲んじゃだめよ」
桜「だからおまえらに止められてっから」
高「あなたは飲んじゃだめよ」
桜「いやあ、ひとりだったら大丈夫だろう。あのときはいっぱい先輩がいたから、くだ巻いちゃったから…」
高「はっは(笑)」
桜「いや、止めてくれよ。ああいうときよう」
高「いや、止めたって」
桜「止めたの?」
高「止めたって!止めたよ。止めた腕を振りほどいたのはおまえだよ」
桜「ああ、そう…」
高「すごいだろ」
桜「若かったんだな」
高「若いし力もあるしな」
桜「今はもうそんな力もないし、今おまえに羽交い締めにあったら俺はもうだめだよ、きっと。おまえの筋肉が。敵わない」
高「んなことないよ」
高「でもさ、その店でさ、すっげえ酔っ払ってさ、二人で渋谷中を鬼ごっこしたの、覚えてないだろうな」
桜「覚えてるよ。覚えてるよ。」
高「はっはっはっは(笑)」
桜「おまえにあのあと殴られたんだもん、俺」
高「あ〜!覚えてるんだ!」
桜「覚えてるよ〜!」
高「覚えてるんだ〜!そりゃそうだよ、あなた」
桜「でも、あれはお前が悪いんだぞ」
高「なんで?」
桜「お前があんまりあの国営放送のあれ、落とされたからって愚痴るから俺が段々いんやしょうがないだろって、言ってる俺がミイラ取りがミイラだよ」
高「ああ…ミイラ取りが…(笑)」
桜「てめぇこのやろう、って外出ちゃってね」
高「そう、出ちゃったんだよね」
桜「それでおまえが追っかけてきたら、俺は第一勧銀のところの塀の上で寝てたっていうね」
高「そうそう」
桜「そのあと宮益坂の下でタクシー拾ったときにおまえに殴られた」
高「そうね…。当たり前じゃん。当たり前じゃない」
桜「すみませんでした」
高「いやいや、とんでもないです。でもあの頃の店、全然ないね」
桜「ないでしょう」
高「エルシド…」
桜「ないし、もう、タカミーが行くような店じゃないから。やっぱタカミーはあれでしょ、六本木とか、西麻布でしょ」
高「そんなことないよ。やっぱり渋谷とか…やっぱり西麻布だよ…」
桜高「あっはっはっ(笑)」
高「六本木だよ」
桜「グルメだからね」
高「グルメじゃないけどね。あそこのさ、エルシドの上にゲームセンターがあったじゃん。ボーリング場とか」
桜「あった。あったよ」
高「あそこでさ、おまえとさ、大体終電までさ、卓球やったじゃん、卓球」
桜「卓球やったよ」
高「それがさ、絶対に勝てないんだよな」
桜「だってそりゃ俺は卓球部だったもん。おまえバスケット部だったじゃん」
高「そう。もう、悔しくて悔しくて。どんなにズルしても勝てない」
桜「お前のズル汚いからな。ほんとになあ。とんねるずと同じくらい汚い」
高「いやいやいや、そんなことない」
桜「それでさ、どうなの?俺たちの昔話だけでいいの?」
高「いいんじゃない?」
桜「いっかあ」
高「だって元気でしょ?あなたも」
桜「元気元気」
高「だったらいいじゃない。それで」
高「ねえねえねえ、さっきリボルバーかけたじゃん?」
桜「かけた」
高「すごい音いいよね」
桜「いいでしょ?でもねえ、俺イヤホンがひとつしかないんで、ステレオになってないのよ。」
高「じゃあ全然わかんないじゃん、いいかどうか」
桜「多分いいはずだろう!と思ったのよ」
高「もうねえ、一曲目、タックスマンなんかね、カウントからクリアですごい」
桜「あのコーラスがすごくきれいに出てなかった?」
高「分離がいいんだね。分離が」
桜「ねえ」
高「あの、ギターのカッティングが完全に右に分離して。前のはちょっとこもってたり」
桜「でもおまえが来てくれてよかったよ」
高「なんで?」
桜「ビートルズのこと、からっきしだから、俺。そういうこと、専門的なこと、坂崎みたいに言えないから。おまえら二人はビートルズのこと、すごいじゃん。おまえあの映画見たか、ここは実はこうだったんだぞって俺横で、ハァ〜?って」
高「レット・イット・ビーでしょ?」
桜「そう」
高「そうそう。あれおもしろいよ。」
桜「そう?」
高「若いときの」
桜「だからさ、おまえら二人は兄貴の影響でビートルズに小学校から触れたけど、うちの兄貴は加山雄三さんだったから、俺はビートルズまで行ってなかったんだよ」
高「加山さんだっていいじゃない」
桜「いや、加山さんはだってさ、あの頃、小学校のころ、一緒に仕事するなんて思ったことないから」
高「思ってない思ってない」
桜「いやあびっくりだよ」
高「なあ」
桜「仕事ってずっと続けるもんだなあって思ったよ」
高「加山さんの曲で何が一番好き?おまえ」
桜「俺?そうねえ…なんだろうな…あの、結構B面っぽいの好きだったな」
高「旅人よとか?」
桜「旅人よとか。ああいうの好きだったな」
高「青い星くずとかも、B面なんだよね、あれ」
桜「あと、ブラック・サンド・ビーチが好きだったな」
高「おう、ババンバーバババ・ババンバーバババ♪」
桜「そうそう」
高「あれって逆にやってるの知ってる?逆。コード逆にしてるだけなんだよ」
桜「それはいいんじゃないか」
高「まあそっか。いや、本人から教えてもらったの」
桜「本人が言ってた?」
高「うん。加山さん本人が」
桜「でもおまえ幸せだよな」
高「うん?」
桜「加山さんに絵描いてもらったろ?」
高「そうなんだよ。絵描いてもらってさ」
桜「加山さん、絵うまいもんな」
高「うまい!」
桜「俺びっくりしたのはね、湘南の海の絵を描いてる波がね…」
高「そうなんだよ」
桜「だから俺聞いたことあるもん。波ってどうやって描くんですかって」
高「うん。それでどうって」
桜「いやあまあ色々あるけどなって言われて、よくわからなかったけど」
高「はっはっはっは(笑)」
桜「いやでもほんとにうまいよね」
高「すごいよね」
桜「あんなに器用な人はいないね」
高「いないね。何でもできる。スーパースターだよ、やはり」
桜「そうだよね」
高「引退されたのはちょっとね、残念だけど」
桜「まあでも、85歳、現役だもん…」
高「大変だよね」
桜「俺たちだってこれからも頑張らなきゃいけないと思わさられるよね」
高「そうだよ、やっぱり。加山さんのためにも頑張らないといけませんよ。頑張ってよまさぼん」
桜「いや頑張ってるよ」
高「あなたの喉が頼りだから、ジアルフィーは」
桜「いやだけどさ、ほんとに、こういうことがあるとさ、バンドで良かったなと思うよな。」
高「そうだね。こういうときこそ、やっぱりほらさ、チームワーク!ってさ」
桜「そうだよ、ほんとに」
高「うーん。それでやってかなきゃいけませんからね」
桜「あの、今週は俺だけど、来週はおまえだからね」
高「はい!わかりやした」
桜「ね。よろしくね」
高「うん。これ、いつまで話せばいいんだ?」
桜「もうそろそろ良いらしいよ」
高「もういいの?」
桜「俺最初に言ったの。あいつとそんなに長い話できないよ、って言ったの。そしたら別に短くていいですよってったら、おめぇ〜今日なげえ〜もんな」
高「なんで」
桜「渋谷の焼き鳥屋の話だぞ、だっておまえ」
高「だって…たまには行こうよ!」
桜「俺は良いよ?準備はできてる。おまえ…おまえと一緒に行けねえよ」
高「なんで?」
桜「タカミーって格好でおまえ渋谷歩いてごらんよ、おまえ、だって、ハロウィンよりすごいことになっちゃうだろ」
高「まさぼん…って格好で」
桜「…今度ちょっと地味な格好して行きましょうか」
高「行きたいよね。あそこね」
桜「行ってみたいね。あ、じゃあなんかロケでもやろうか」
高「あ、いいね」
桜「それいいんじゃない」
高「ね」
桜「あっちの仕事もね、あったらできそうだし」
高「あったらね。そうだね」
桜「そんなわけで、今日はすみませんね。お忙しい中を。」
高「頑張ってください!」
桜「頑張ります。みんなも…みんなもじゃない、おまえも気を付けてな」
高「わかったよ」
桜「まあ、夜遊びしてないけどね、我々」
高「まあいつなってもしょうがないからね、このときはね」
桜「まあね、そういうことだ」
桜「じゃあ、ありがとうございました!」
高「はーい!どうも頑張ってください!」
桜「えー、タカミーから電話をいただきました」