ディミギ!3 お題「攻めの持ち物を壊すディミトリ」「あっ」
パリン という儚い音と共に焦ったような声。
ベレトが手に持った茶器から向かいに座っているディミトリへと視線を移すと、ディミトリは茶器の取っ手のひとかけらのみを指でつまんだまま眉尻を下げ「すまない」と申し訳なさそうに謝った。彼が指の力を緩めると支えを失ったそのかけらもパラパラと砕けて机にこぼれていく。
机には取っ手の一部が砕かれた茶器が受け皿に収まっていた。中身は半分ほど入っていたが、ちょうど持ち上げようとした瞬間に器用に取っ手のみ砕いたようで、倒れたりこぼれたし様子はなかった。
「かまわない。危ないから動かないで」
そう言って立ち上がろうとするディミトリを制すると、ベレトは代わりに席を立ち手際よく破片や割れたカップを片付けていく。
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