燃ゆる身体スティーヴンが知らない男と談笑している姿が目に焼き付いて離れない。鏡越しに見るスティーヴンの笑顔に気が狂いそうだった。何を話しているのか聞こえなかったせいもあってか、仕事仲間だと分かっていてもザワついた胸が収まらない。自分が嫉妬深いことを重々承知しているつもりだが、抑え方も分からず、馬鹿みたいに嫉妬で身体が燃え尽きそうになる。
「ただいま〜」
スティーヴンが仕事から帰ってくると足の制御権を無理やり奪い、気絶させるために玄関でわざと転ばせた。玄関マットにおもいきり顔をぶつけたスティーヴンの「いてっ」と言う間抜けな声を聞きながらずるりと意識を精神世界に引きずり込んだ。
真っ白な部屋にベッドがひとつ。小さな窓からは夜空が見えた。ドアはあるものの、開く気配はない。
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