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    mijinko_baketu

    お絵描きは好きだけど技術は残念ながら…
    絵は女体化only、文章はふたなりORカントボーイのどっちか。

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    mijinko_baketu

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    子供ネタ。これを晴道といいはる勇気。当初の予定では警察官視点と道満視点のホラーもどきになるはずだったんだけれど、そんなものなかった。

    人妻蘆屋小話2いつ頃だったかは覚えていないが、昔おとなのふりかけというCMがあった。夜、子供に内緒で両親がふりかけを食べている現場を目撃した子供が怒っている内容なのだが、当時は子供だったので自分たちが寝たあとに、父や母が美味しいものを食べていると知ってずるいと怒ったものだ。しかし、年をとれば視点も変わる。
    親になった今ではあのCMの気持ちが分かると言うもの。子供たちが寝た後からが本番。好きなことをおもいっきりやれるボーナスタイムだ。美味しいものをこっそり食べて何が悪い。育児に疲れた体にご褒美を与えていなければ、やってられない時だってある。
    今がその時だ。
    イヤイヤ期に入った双子に振り回されて、エネルギーが尽き欠けている。こんな時こそジャンフードを思いっきり食べるに限る。深夜に高カロリーのものを山ほど食べる背徳感がたまらない。近くのマクドナルドに食べに行こうと決めた。
    大きなキングベッドの上、晴明が寝ているのを確認した後。こっそり寝室からぬけだして寝巻から普段着へと変え、財布を掴む。音を立てないようにドアを閉め、外に出ようとしたその時、小さな影が動き飛びついてきた。夫と同じ髪色で分かった、吉明だ。こんな時間に何をしているのだろう。一瞬、ぎょっとしたではないか。
    「ンンン! 何時だと思っているのです」
    「ママ、どこいくの? あきくんもいく」
    ひしっと足にしがみついている我が子を剥がし、顔に近い位置まで抱き上げる。
    トイレにでも起きたのだろうか。小水ならおまるでできるはず。それをしていないということは大の方かもしれない。漏らされても困るので、慌ててトイレへと連れて行く。
    「吉明、さっさと出して寝てしまいなさい」
    「ちがうもん! みちくんトイレじゃないもん!」
    「トイレでないのならなんなのです。良い子は寝る時間、我が儘は許しません」
    この時間帯に起きていられると、昼寝が出来なくなってしまう。その時間帯に家事をしている自分にとって大きな問題だ。何とか寝かせようとするが、トイレの上で嫌々をして聞く耳をもたない。
    「やだぁ! やだ! ねないもん! みちくんもママと一いっしょにおでかけしゅる!」
    機嫌を損ねたらしく大きな声で喚き始めた吉道の口を塞ぎ、今度は家の外に駆けだす。このままでは寝ている吉道も起きかねない。それだけは何としてでも避けたかった。パタンと玄関の扉が閉まったのを確認し、抑えていた手を離す。
    苦しかったらしく、吉道がはーはーと大きく息を吸い込んでいる姿に申し訳なくなったが、あの時は口を抑えるしかなかったのだ。可哀想だが諦めてもらうしかない。
    パジャマのまま外へ出してしまったが、まだ夜でも温かいので風邪をひくこともないだろう。早く行って帰って寝かせるためにも、このままカギをかけて、一緒に出掛けることにした。
    「いいですか。夜更かしは今回限りですからね」
    「うん」
    吉明に余計なことを言うなと釘をさすが、幼い子供の事。どこまで約束を守れるのか疑問が残る。九割ほど無理と考えていた方が良いかもしれない。吉道が自分もすると喚く様子が簡単に想像でき、はぁと大きくため息を零しつつも、息子を抱えて歩き出した。

    深夜のため大体の家の電気は消え、電灯と月の明かりだけ。うら若き乙女ならば怖い夜道も、二メートルの筋肉マッチョである道満に怖いものなどない。
    ご機嫌で話しかけてくる吉明をあやしながら近所を抜け、途中にある公園を過ぎ、目的地へと到着する。
    大学生はまだ夏休み中のためか、若い男女が入り口前で商品を食べながら話しており、店内にも若者が何人かいるのが見えた。
    自分も、学生時代はこの場所ではない別のマクドナルドにだが、よく食べにきていたなと懐かしく思いながら、店内へと足を踏み入れると、ふわりと香る食べ物の匂いが更なる空腹を誘う。早く食べたいという気持ちを抑え、カウンターへと向かっていく。
    「こんばんは、いらっしゃいませ」
    笑顔で迎えてくれた店員に、食べたかった商品を注文していくと、吉明が自分もと欲しいものを指さす。
    「あきくん、はっぴーせっとがいい」
    玩具を持ち帰ったら、吉道にマクドナルドへ行ってきたのがバレると思ったが、二歳児に大人のハンバーガーなどを食べさせる訳にもいかない。仕方がないので、息子の望み通りハッピーセットを注文することにした。ただし、ポテトは塩を抜いてもらい、ハンバーガーもケチャップを抜いてもらう。理由は、舌がまだ発達段階であるのにあまり濃い味を食べさせたくないためだ。
    店員にここで食べていくかどうか聞かれたが、吉明がいることもあり、帰り道にある公園で食べようと決めた。
    待つこと数分。店員から受け取った袋を持ち、ハッピーセットのおまけで遊んでいる息子を抱えなおして目的地へと急ぐ。

    十分くらい歩いただろうか。公園に着いた道満はベンチへ座り、買った袋を開けハンバーガーを食べ始める。吉明も大人しくハッピーセットのポテトを食べていたが、急に袋に戻し、服の下から入り込み、つけていたさらしを外し、勝手に乳を飲み始めた
    「ポテチョよりママのおっぱいがいい」
    「おやめなされ、服が伸びてしまいます」
    身長と体格のため、着ている服は特注品、もしくは海外から取り寄せたものである。夫である晴明が金に困らないほど稼いでいるが、無駄遣いがしたい訳ではない。締めるところは締めて、出すところは出す。出来る主婦は違うのだ。
    だからこそ、こんな形で服を駄目にされたくはない。夫はもういっそのこと、そういう服を着たらどうだと言ってきたが、こちらにも趣味というものがある。着たくないものを何故、着なくてはいけないのだ。
    それとは別に、年齢も年齢なので、いい加減やめさせようと思っているのだが、息子たちは聞く耳持たず。おやつ感覚で母乳を欲しがるので困ってしまう。
    吸っている以上、今更止めたところで止まるはずがなく、諦めて食べかけのハンバーガーを食べ始める。流石に、倍ダブルチーズバーガーなだけあって、大きく口を開けたところでチーズやらソースやらが口の周りについてしまう。一旦、紙ナプキンで拭こうか迷ったものの、似たような商品を食べれば同じこと。気にせず次のハンバーガーへ行こうと決めたところで、満足したらしい晴明が服の下から出てきて、ナゲットのソースの蓋を剥がそうとしている。
    「ンンン! なりませぬ。吉道にはハッピーセットがあるでしょう。それは儂のものです」
    二歳児が食べるには味が濃すぎる。取り上げようとしたが、嫌々と被りをふって叫び始めた。
    「やだぁ! あきくんママにたべさせてあげるもん!」
    子供の甲高い奇声というものはどうしてこうも耳に響くのだろう。今いる場所は公園には違いないが、一歩でも足を踏み出せば住宅街だ。このまま喚かしていると近所迷惑になりかねない。事実、深夜の公園に声が響いている。
    しーっと顔の前に指を一本立て、静かにするように促すが、一度でも機嫌をそこねると中々大人しくなってくれない。
    「……分かりました。好きなだけ手伝ってくれて構いませぬので、泣き叫ぶのはおやめなさい」
    本当は子供のわがままに折れてばかりではいけないのだが、状況が状況のため、諦めるよりほかにない。バーベキューソースの蓋を外し、吉明にもたせてやると、ピタリと騒いでいたのをやめ、チキンナゲットにこれでもかとタレにつけ口元に押し当ててきた。
    「ママ、あーん」
    「ンンンン、そこは口ではありませぬ」
    街灯があるので真っ暗でもなんでもないのだが、息子が差し出してくるナゲットはこれでもかと口を外してくる。元々、ハンバーガーを食べる際に汚れてはいたが、比較にならないほど口の周りにソースがついてしまった。はぁ、とため息をついたところで、目の前の通り道に一台のパトカーが止まった。何事かと思い、眺めていると下りてきた警察官がこちらに近寄ってきたかと思うと、ビクリと体を震わせた。
    口の周りの汚れに驚いたのだろうか。ピエロ顔負けの口周りの赤さだ。さもありなん。
    「……え、っと。子供の泣き声が聞こえるとの通報できました。ここで何をしているのか聞かせてもらっても?」
    嗚呼、やはり通報されていたのかとため息をつく。何をしているかなど見れば分かると思うのだが、相手も仕事だ。責めることも出来ない。
    「公園でハンバーガーを食べておりました」
    「あきくん、ママにごはんたべさせていたの。けいしゃつのひちょもどうじょ」
    吉明がナゲットを警察官に渡そうとするのをやんわりと止める。目の前の若い男はポカンとした表情のまま一瞬、固まっていた。
    この反応を今まで何度見てきただろう。言いたいことは分かるが、いい加減飽きてしまった。そろそろ別の切り口が欲しいものである。
    「まま……? いえ、そうだったんですね。夜も遅いですし、帰った方がいいですよ」
    正論である。通報されている以上、この場に留まるのもどうかと思うし、一人でゆっくり食べたい気持ちもある。息子だって早く寝かせなければいけない。
    「ンン、そうですね。そろそろ家に帰りまする」
    吉明の持っていたナゲットを摘まみ口へ放り込むと、紙ナプキンで口元を拭い立ち上がる。視線が下になった警察官を見つめると、再び驚いたような顔でこちらを眺めていた。自販機より大きな男?が珍しいのだろう。こちらの反応も慣れっこだ。
    「……おおきいですね」
    「ンンン、よく言われまする」
    吉明を抱えなおし、ベンチに置いてあった紙袋に、持っていた紙ナプキンや食べ終わった包み紙を詰め手に取ると、警察官に見送られながら帰路に就く。
    再び歩くこと数分。視線の先には我が家が見える。
    そこでふとおかしいことに気が付いた。出かけた時につけっぱなしにしたライトが消えており、つけた覚えのない部屋に電気がついている。明かりのスイッチの高さ的に吉道がつけられるはずがないので、犯人は夫だろう。気を付けて出ていったつもりだったが、起こしてしまっていたらしい。
    カギを開けて玄関で靴を脱ぎ、腕の中で舟をこいでいる息子の靴も脱がせると、廊下を進みリビングの戸を開ける。
    そこには、双子の片割れを抱っこしている晴明がいた。説明されなくとも分かる。自分たちが出かけた後、吉道目を覚ましてしまったのだろう。そして、片割れがいないことに気づき、夫婦の寝室へ探しに来たが、母の姿も見当たらず、泣きながら父を起こしたというところだろうか。
    「おかえりなさい。道満、吉明」
    「ンン、明日も早いでしょうに起こしてしまい申し訳ありませぬ」
    「いえ、私の子供でもあるのです。この程度大したことではありません」
    「……まだ食べていないものがありますので、欲しければ差し上げますが」
    手つかずのポテトや、ハンバーガー。少し食べてしまったがナゲットが中に残っているため、買ってきた袋をちらりと見せると、夫は首を横に振った。食べる時間よりも寝たいのかもしれない。要らぬ世話だったかと思い、テーブルに袋を置き、息子を預かろうとすると、夫の顔が近づいてきてペロリと唇を舐めた。
    「私はこれで充分です」
    どこの少女漫画だと言いたくなったが、容姿が抜群に良いので様になっている。ドキッとしてしまった自分が悔しい。このままでは指摘されそうなので、不自然ではない風を装い、顔を隠す。油断していると顔が赤くなってしまいそうだ。これもそれも、夫の顔が美形すぎるのが悪い。あの顔で気障なセリフを言われたら動揺するに決まっているではないか。唇を噛みしめながら頬を何度か叩き、気合を入れると男に向き直り、一旦吉明を椅子へと座らせると、腕の中でぐずっている吉道へと腕を伸ばす。
    「……もう一度寝るのでしょう? 吉道を預かります」
    「おまえ「ママ、あきくんといっしょにどこいってたの?」
    案の定、先ほどの行動を突っ込んできたが、息子の声によって被せられ掻き消される。ナイスと心の中で呟いたのは言うまでもない。
    晴明から受け取るよりも先に、胸に顔を押し付けていた吉道がこちらに振り向き、小さな手を伸ばし抱き着いてくる。父親がずっと傍にいたとはいえ、心細かったのだろう。安心させるため優しく抱きしめ、腕を揺する。
    「少し外に出て散歩していただけです。もう何処へも行きませぬ。ささ、そのまま寝てしまいなさい」
    その言葉に小さく頷き、顔を押し付けながら吉道は目を閉じ、寝息を立て始めた。このままにしておくわけにもいかず、子供部屋の布団へと彼を寝かせ、再びリビングに戻ってくると眠っている吉明を抱え、歯磨きを始める。寝ればいいのに、ずっと起きていた晴明が手元を覗き込んできたので、今日何処に行ってきたのか吉道には秘密だと念を押したのだが、返ってきたのは爆弾だった。
    「嗚呼、そのことなら心配は無用です。先日に吉道と夜にマックを食べに行きましたので」
    「はぁ!?」
    「ちゃんとハッピーセットのポテトの塩と、ハンバーガーのケチャップは抜いてもらったので安心してください」
    違う。そうじゃない。いや、子供の食事に対する配慮は完璧だが、ここで言いたいのはそういうことではない。何を勝手に、子供を深夜に連れ出し玩具を買い与えているのだ。自分もそうではないかということは棚に上げておく。
    先日とはいつだ。言葉の意味としては三日前から一か月前を指す。期間が長すぎる。思い返しても吉道が変わった行動をとっていた覚えはないし、見覚えのない玩具を持っていたところも見ていない。子供だと甘くみすぎていた。曲者同士がくっついて生まれた子だ。驚くほどずる賢い。全く気付かなかった自分の迂闊さにも腹が立つ。もしや吉明が外へ遊びに行きたがっていた理由は、片割れが知らぬ間に持っていた玩具に対してだったのだろうか。自分が彼と同じ立場だったら、やはり羨ましい、ずるいと思うだろう。言い出せなかった吉明の気持ちを考えると、気づくのが遅れて本当に申し訳ないと言う気持ちでいっぱいだ。
    「ンンンン! 晴明殿。これ以降、双子を夜外に出すのは禁止です。夜遊びをするようになってしまいまする」
    「夜遊びされて疲れるのはおまえですしね。分かりました。今度夜外に出るときはちゃんと起こすので安心してください」
    気遣いはありがたいが、分かったのか分かってないのか困る返事をするのはやめて欲しい。男のことだから、投げっぱなしではなく最後まで責任をもって面倒を見てはくれるだろうが、それとこれとは別の話。
    「……はぁ!? 分かっていないではないですか!」
    「おまえと二人で散歩に行くわけにいかないでしょう? 子供たちを家に置いていくわけにはいきませんし」
    「……」
    そこでようやく、夫の言いたいことに気づいた。要するに、深夜のデートのお誘いだったのだろう。昔は二人で目的もなく夜の道をぶらついたりしていたのだが、今ではそれもなくなった。男は寂しかったのだろうか。晴明に限ってと思うのだが、完全に否定できない点もある。思い返せば、確かにあの頃は楽しかった。莫迦みたいな話をしたり、心霊スポット荒らし(その場にいる悪霊をどちらが成仏させられるかと言った勝負)をしたりと、毎日が輝いていて飽きなかった。未だって、毎日は充実しているけれど、あの頃とは少し傾向が違う。
    出産直後に男に扱いが雑になった。おまえの体で自慰をしたいわけではないと言われて以降、気を付けていたつもりだったが、それでもすれ違いは起こってしまうもの。子供が生まれたのだから仕方がないことなのだろうが、そこで思考停止してしまってはただの莫迦だ。子供も大事だが、同じくらい夫のことも大切なのだから、ここで返す言葉は決まっている。
    「そうですね。たまには夜、四人で出かけるのも悪くないかもしれませんね」
    満足そうに笑った男にこちらも笑みが浮かぶ。
    さぁ、明日も早いのだ。歯磨きも終わったので吉明を子供部屋で寝かせ、自分達寝てしまおうと夫に声をかけた。
    「ささ、晴明殿。一緒に寝室で眠りに行くとしましょう」
    夫を先に寝室へと送り出し、寝ている我が子を部屋の布団で寝かせると。布団を開けて待っていた彼の横に滑り込み、そっと寄り添って瞼を閉じた。

    おわり
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