シカクの最期 空気が澄んだ朝。
ニックに小言を言われたシカクは仕方なく街の方へと散歩に出ていた。
めぼしいものが何もない散歩が退屈なのか、しきりにあくびを繰り返しノロノロとした動きで街の道路を歩いていく。
通勤時間に当たっているためか周りの人たちは動きの遅いシカクを追い越しせっせと歩き回っている。
(今ここで誰かを刺せばこのツマラなさも消えるか?)
ズボンのポケットに入れてある折りたたみナイフを触るが、刺した後の避難経路やニックからの怒りの言葉を受けることを考えポケットから手を抜いた。
皆が皆シカクを追い抜き避けていく中、一人の男は立ちふさがるように道路へと立ち尽くしていた。
その男はシカクを見ながらカタカタと震えている。
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