驚天動地の勘違いを 朝の冷気を切り裂くように、弦の音が静かなシミュレーションルームに響いた。
的の中心に突き立った矢を確認し、アルジュナはわずかに頷く。
今日は良い一日になりそうだ。足取りも軽く食堂へ向かう。
しかし扉を開けた瞬間、その予感は一瞬で霧散した。
いつもなら聞こえる雑多な談笑が、妙に浮ついている。ちらちらと何かを窺うようにアルジュナを盗み見るような視線まで感じる。
──前言撤回。嫌な予感しかしない。
軽い朝食を終えて食後のチャイを飲んでいると、向かいに腰掛けてきたのはイアソンだ。クラスも戦い方も異なるが、色々と縁があって彼はアルジュナにとって気の置けない友人だった。
その友人は何というか、見たことのない顔でアルジュナを見つめた。何度か口を開いては閉じ、とても言いづらいことをこれから言わなければならないとその顔に書いてある。
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