息が浅い。出血も多く血溜まりが広がっている。きっとこのままではリオセスリ殿は死んでしまうのだろう。
多いとは言えない休暇を彼と一緒に過ごし、今では彼とのティータイムが一番の癒しになる程に掛け替えの無い時間となっていた。
彼を失いたくない。気が付くと私は、彼の傍に座り手を翳して力を分け与えていた。
力を分け与えられた彼の身体はみるみると傷が塞り、まるで死に掛けていた事など嘘のように彼は私の目の前で眠っていた。
良かった…これで彼を失わずに済んだ…
そう胸を撫で下ろし安心したのも束の間、彼の姿が小さな子供の竜に変化していった。
一体何が起きている?私の力を取り込んだからだろうか…無意識に私は彼を変化させてしまったというのか…
私は仔竜となってしまった彼を抱き上げ連れて帰るとこにした。このままここに置いて誰かに見られでもすれば混乱を招いてしまうだろう事は想像に難くない。
人目を避けるように自宅に帰り、リオセスリ殿をベッドへと寝かせこれからの事を考えることにした。
目を覚ませばきっと状況について行けない彼は混乱してしまうだろう。私に怒りを覚えるかもしれない。
それでも貴方が生きている。それだけが私にとって一番重要な事だった。どんな形であれまた一緒に時を過ごせると思うと多幸感で胸がいっぱいになる。
ふむ…あの時人としてのリオセスリ殿は死に竜として産まれ変わった事にし、私の傍に置くとしよう。
「ん……グルル…?!」
目を覚ましたか。この感情がどのような物なのか私には解らないが、この想いを伝えたらリオセスリ殿がどのよう顔をするのかとても楽しみだ。