いずれ花開く時迄初恋は実らない。
よく聞く話だ、叶う確率なんて分かるわけもなく…もし叶うなら全人類が初恋だらけになる。
そんな訳ないだろ。
いつから好きだったなんて覚えていない、物心着く頃には既にその人が目の前にいた。
兄の親友だった人、佐竹さんはいつも優しかった。背が高くて、強くて同級生みたいに意地悪や罵ってきたりしない。
「いさみは可愛いよ。大丈夫…俺が現行犯で見つけたらとっちめてやるからさ、な?」
「…ありがとりゅうじ君。お兄ちゃんにはナイショだよ?」
「勿論。2人だけの秘密にしよう」
そう言って何時も励ましてくれた。
兄がお星様になったあの日でさえ、本当は佐竹さんだって悲しいはずはのに…泣きたいはずなのに抱きしめて安心させてくれた。
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