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    371marine

    @371marine

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    371marine

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    花屋時空のサタイサ︎︎ ♀
    フォロワーさんとのやり取りでかけるかもと思い短編にしてみました。
    めっちゃ喋るモブ子ちゃんがいます
    ずっとサタに恋してるイサ︎︎ ♀ちゃんってかわいいっすね?

    いずれ花開く時迄初恋は実らない。
    よく聞く話だ、叶う確率なんて分かるわけもなく…もし叶うなら全人類が初恋だらけになる。
    そんな訳ないだろ。
    いつから好きだったなんて覚えていない、物心着く頃には既にその人が目の前にいた。
    兄の親友だった人、佐竹さんはいつも優しかった。背が高くて、強くて同級生みたいに意地悪や罵ってきたりしない。

    「いさみは可愛いよ。大丈夫…俺が現行犯で見つけたらとっちめてやるからさ、な?」
    「…ありがとりゅうじ君。お兄ちゃんにはナイショだよ?」
    「勿論。2人だけの秘密にしよう」

    そう言って何時も励ましてくれた。
    兄がお星様になったあの日でさえ、本当は佐竹さんだって悲しいはずはのに…泣きたいはずなのに抱きしめて安心させてくれた。

    「大丈夫、いさみ…悲しいな…辛いよな。」
    「りゅうじ君…」
    「アイツの分まで俺が君を守る」
    「…うん!」

    歳をとるにつれて益々、佐竹さんに恋焦がれていくけれどきっとこの恋は実らない。
    佐竹さんからしたら兄の代わりのつもりで自分を支えてくれているんだ…それなのに自分は…好きになってしまった。

    一人の男として愛してしまったのだ。

    浅ましい…。

    中学生時代、下校時間に佐竹さんらしき人影を見かければ隣には綺麗な女性がいた。
    分かってるよ、年が離れすぎているなんて…14歳も年の差、向こうからすればお子ちゃまだ。
    分かりきっていたはずなのに胸がチクリと痛む、自分と2人で並んだって仲のいい兄妹にしか見られない。
    それでも…、やっぱり諦めれなかった。
    このひとのそばにいたい、ずっと。
    大学四年生になった今でもそれは変わらなかった。ただ、昔と変わり佐竹さんと関わる時間は減りつつある…学業にバイトに就職…大人になるにつれてやる事は沢山あるのだ。

    「就職か…」
    「…イサミ?」
    「あ、佐竹さん…。」

    大学の帰りにふらっと商店街を歩けば久しぶりに佐竹さんに出会った。久しぶりと言ってもLINEでほぼ毎日やり取りはしている為、関わりがないと言えば嘘になるが実際に会うのは1ヶ月振りかもしれない。

    「久しぶりだな?元気にしてたか」
    「久しぶり、ですね。うーん毎日レポートと就活にバイトで忙しいかも?…特に就活」
    ハハッと苦笑しながら話せば佐竹さんはサラッとうちに就職するか?とまるで飯食いに行こうぜみたいなノリで勧誘してきた..。

    「な、…え?」
    「人手が足りないんだ、俺を救うと思って?な頼むよ勇」
    「いいの隆二君?」
    「良いに決まってんだろ?俺が店長なんだから…あ、」
    「あ?」
    「やっと下の名前で呼んでくれた…嬉しい」

    ふっと笑う佐竹さんがかっこよくてまた胸がチクリと痛い。きっとこれは、妹だから見せてくれる特権というやつなんだ…。
    大学を卒業と共に佐竹さんが営む花屋へと就職した。慣れない業務に苦戦しながらも佐竹さんがフォローしてくれる。その度に、あの頃思い描いた気持ちが蘇っていき自分を苦しめた。

    可哀想だな?
    憐れむな。

    年が離れすぎている
    今更だよ。

    住む世界が違う
    …。

    何時までこの蕾を持ち続ければいいんだろうな?
    月日は過ぎ去り、気がつけば2年目。
    今でも花は咲いていない。
    そんなある日、店に同級生が現れた。

    「いさみーん!久しぶりっ元気だった?」
    「お陰様で、そっちは?」
    「ぼちぼちでんな〜」
    「…ふっ何だよソレ」

    久しぶりの友人は相変わらずの性格で安心する。
    で、ご用事は?と聞けばいさみんのいけず!お花買いに来たんだよ!!そう言ってプリプリ怒りながら小さな花束を作って欲しいと頼まれた。

    「母さんが誕生日なの」
    「おばさんの好きな花と色でまとめようか。包装紙は…オレンジ好きだったよな?」
    「流石、わかってんね」
    「何年友人やってんだよ」
    「任せたよ」

    花束を作るにあたり色合いと形を考えながら作っているとちょいちょいと声をかけられる。
    「まだ終わらないぞ?」
    「あー…そうじゃなくてさ、いさみんにもう1つお願いがありやして」
    「お願い?」
    「来週の金曜日の夜空いてたりする?」

    そう言われて来週の予定を思い出す。

    「次の日、仕事だから長居は出来なくてもいいか?」
    「いいよ大丈夫実はね…金曜の夜合コンがありまして…お願いッいさみん!参加して下さい」
    「合コン…?」

    予想外の出来事に思わず目をパチクリさせた。

    「うん…、誘われて友達呼んでいいって言ってたからさ…。めっちゃ美味しいご飯屋らしいよ!」
    「美味しいご飯屋さん…」
    思わずヨダレがでると、友人に呆れられた。
    「いさみん相変わらずだね〜」
    「いいだろ別に」
    「え〜恋したくないの?彼氏いないんだよね?」
    そう言われればぐぅのねも出ない。
    そうこうしているうちにブーケは出来上がった。
    「ほら、出来たからお会計」
    「話を逸らさないでよ〜」
    「別に逸らしてなん「あー」…んだよ」
    「いけなない!ケーキの予約してたんだわ!あっお金払うね素敵なブーケもありがと私行くからっまたLINEで連絡するねっ」

    早めに返信してよ〜!そう言って友人は嵐のように過ぎ去った。
    まるで台風のような奴だ。
    気づけば夕方、そろそろ店も閉店の時間が近づき片付けの準備に取り掛かる。
    いっそ合コンに行って何となく良さげな人間引っ掛けた方が自分のためにもなるのだろうか?そうすればこの想いも穢すことも無くしまえるかもしれない。
    家に帰ったら友人に参加することを伝えようと決めた時、佐竹さんに呼び止められた。

    「行くのか合コンに?」
    「聞いてたんですか?」
    「まぁ…あれだけ声が大きければな。不可抗力だ」
    言われてみれば確かに友人はパワフルな奴だから声も通りやすい…否が応でも聞こえてしまうよな、思わず渋い顔になってしまった。
    「…ちょっとだけ迷っています。美味しい店らしいから」
    「そんなの俺が連れてってやるよ」
    「からかってんですか?…おにーちゃんは心配性なんだか」

    「勇、」

    佐竹さんに腰を抱かれ引き寄せる。じっと見つめられ音が聞こえずシーンとした空気になった。
    こんな間近で彼を見たのは何年振りだろうか?


    「隆二さん…?!」
    「やっと名前を呼んでくれたな勇」
    クシャッと笑う隆二さんはあどけなくて、この人…38歳なのに全然老けて見えないし歳をとってもやっぱりかっこいいとしか思えなかった。

    「俺の事、からかわないで下さい…もう24なんです。貴方からしたら子供かもしれないけど…けど!」

    「勇、合コンには行かないでくれ」
    「だから、なんっ」
    「俺は、お前をからかったりガキ扱いなんかしていない」

    そう言って腕を捕まれ、手の甲にキスをされた。
    …は

    「俺は、お前のことを一人の女性としてちゃんと意識してるよ…なんてな、店仕舞いだ。家に帰ったら早く寝なさい。」

    「え、…あ…う?」
    「ハハッ今日もお疲れ様。友人には行かないって言っとけよ勇、約束な?」

    頭をポンポンと撫でられ隆二さんは帰る支度を始めた。店閉めるから出ろよと言われ頭が回らず…はい、しかいえず2人でお疲れ様と挨拶をして別れた。


    …初恋は実らないなんて嘘じゃないかもしれない。
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