壇上に立ったフリスクはマイクを少し調整した後、手にしていた原稿用紙をチラリと見て、そしてそれを小さく畳んでしまった。
白いパンツスーツ姿のフリスクは、もともと細身で小柄だというのに、大勢の人間達に囲まれ、広い壇上でますますちっぽけに見える。
深呼吸をして唇を引き結び、聴衆の中の一点をまっすぐに見つめ、
そして明確に、誰かに向けて微笑んだ。
「…まず、少し砕けた言葉を使うことをお許しください。ご覧のとおりわたしは子供…ガキンチョで、これからお話することはわたしの友人たちについてのことです。
いま、世界中の人間の皆さんはとても戸惑っているのではないかと思います。
姿形が違い、文化も違う。突然押し寄せた隣人を愛せよと言われても困る。そうだと思います。
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