カフェオレが冷めるまで 魔法薬学室の植物達に水を撒くのにもだいぶ慣れた。ふと視線を上げれば窓から青い空と木々たちが見える。ぴたりと静止画のように動かない木々が、外が無風なことを悟っていた。最近は茹だるような暑さだが、ここは別世界のように涼しかった。
「仔犬、水やりは済んだか?」
「はい。後は栄養剤を滴下するだけです」
「そうか」
背後から声をかけられて振り向けば、クルーウェル先生がトレイに湯気を立てたカップを二つ乗せてこちらへ向かってきた。テーブルにそれを置いて私の隣に立つと、水分をたっぷりと補給してきらきらと光る植物達を眺めて満足そうに頷いた。先生に見守られながら栄養剤を滴下していく。この子達がいつか授業で使われるんだなぁと思うとなんだか嬉しくなった。植物の名前も憶えられたし、良い仕事だったと思う。
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