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    七海紗綾

    @minana0730

    とっくの昔に成人済。
    何十年かぶりにお絵描きとか物書きしています。
    どちらも今でも勉強中。

    この世界に私を呼び戻した戻したツイステすごい。(何目線?)

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    七海紗綾

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    ※ラギ監、NRC時代
    ※ラギと合同授業

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    一緒にお風呂に入りたいラギ監シリーズ 10「すみませーん。隣、空いてるッスか?」
    「あ…はい!空いてます!…って。」

    2年生との合同授業。
    早めに席に座っていた私の元に現れたのは。

    「ラギー先輩!」
    「シシシッ。どーも。」

    大きなお耳とふわふわの髪。
    垂れた目尻にいたずらな笑顔。
    かわいいとかっこいいをあわせ持つ、私の大好きな…大事な恋人。

    ラギー先輩は失礼しまーすと言いながら、私の隣の席に座る。
    短めのしっぽがゆらゆら揺れて、ご機嫌の様子だ。

    「ユウくん、一人ッスか?」
    「はい。エースもデュースも、別の授業を選択していて。」
    「ふーん。で、グリムくんはすでに寝てる、と。」
    「あはは…。始まる頃には起こします。」

    ラギー先輩とは反対側の席で、グリムは気持ち良さそうに寝ている。
    さすがにこれでは先生に怒られてしまうので、後で起こさなければ。

    「良かった。一人で不安だったので…。ラギー先輩が一緒なら、心強いです。」
    「一人って…。グリムくんも一緒でしょ?…寝てるけど。」
    「そう…ですね…。」

    グリムは魔力を使う授業なら頼りになる相棒なのだが、座学は苦手のようで。
    しかも昨日は遅くまでエースたちとゲームをしてたらしく、寝不足と言っていた。
    何か食べている夢でも見ているのか、ムニャムニャと口元が動いているグリムをそっとなでる。
    んーツナ缶…と寝言が聞こえて、思わず笑ってしまった。

    「…もしも、ユウくんと同じクラスだったら。」
    「…え?」

    つぶやくように言ったラギー先輩の方を見ると、頬杖をついてこちらを見ていて。

    「そしたら、いつでもこうやって一緒に、授業受けられるッスね。」

    シシシッと笑うラギー先輩には、少年のようないたずらっぽさと。
    時おり見せてくれる、大人っぽい甘さがあって。
    そのどちらも今の私には、鼓動を速める要因にしかならなかった。
    ラギー先輩と同じクラスだったら…これが、毎日になる…の?

    「あーあ、オレ、留年しよっかな~。」
    「だ、ダメです!」
    「えー?なんでー?」

    冗談とはいえ、ラギー先輩が留年なんて絶対にだめだ。
    しかもこの言い方だとわざと留年するみたいだし…。
    いや、今はそんなことよりも自分の心臓の心配をした方が良さそうだ。
    ちょっと想像しただけでも、ドキドキするのに…毎日なんてお断りだ。
    それに。

    「先輩、って呼べなくなっちゃいます…。」

    苦し紛れの言い訳、かもしれないけど。
    やっぱりラギー先輩は先輩なので。
    そう呼べなくなってしまうのは、困るというかなんというか…。

    「オレは、ユウって呼びたいんスけど。」
    「っ??!」
    「そうしたら、オレのこともラギーって呼んでくれるッスよね?」

    …同じクラスのあいつらみたいに。

    見つめてくるその瞳はいつも通りのようにも見える。
    けど、その奥にいろんな感情が潜んでいるような…複雑な色をしていた。
    私がラギー先輩を、呼び捨てに?
    いやそれより今…ユウ、って…。

    と、そこへちょうど先生が入ってきた。

    「ほらほら、グリムくんを起こさなくていいんスか?…ユウくん。」
    「…っ!は、はい!」

    完全にキャパオーバーした私の頭では、優しく起こすなんてことは出来ず。
    強めに叩いてしまったことでグリムが飛び起き、早速先生に叱られてしまった。


    授業も中盤にさしかかった頃。
    再びグリムはうとうとし始めていた。
    私が時々つついて起こすと、その様子を見てラギー先輩は笑う。
    …なんだか恥ずかしい。
    とはいえ、グリムに気をとられていては、私も授業についていけない。
    グリムを起こすのは諦めて、ノートをとることに集中した。

    と、ふと…何があったわけではないのだけれど。
    隣のラギー先輩の方に視線を移す。
    真剣に先生の話に耳を傾け、ノートをとっているその横顔に目を奪われた。

    …かっこいい。

    やっぱり、同じクラスじゃなくてよかった。
    これでは一日中ドキドキしっぱなしで、心臓がもたない。

    「ユウくん。ちゃんと授業に集中して。」
    「へ?!あっ…。」

    気づけばラギー先輩がこちらを見ていて。
    困ったように笑っていた。

    「分からなかったところは後で教えてあげるけど、まずはちゃんと自分でやってみて。」
    「は、はい…。」
    「ん。いい子。」

    勉強がちゃんと出来た時に見せてくれるいつもの笑顔。
    とくんっと胸が高鳴って、顔が熱くなる。
    私は頭をふって切り替え、授業に集中した。

    …つもりだった。

    「子分、ノートが真っ白なんだゾ。」

    集中なんて出来るわけがなかった。
    あれから変にラギー先輩のことを意識してしまって…。
    一応、書きうつしてはいるのだが…もはや呪文と化していて、グリムの言う通り白紙同然だ。

    「寝ていたグリムに言われたくないんだけど?」
    「オレ様はあれだ。睡眠学習ってヤツなんだゾ。」
    「そんな自信満々で言われても…。」

    えっへんと胸を張って言うグリムに、返す言葉もなく。
    私は持っていた教科書とノートをぎゅっと抱きしめる。
    どうしよう…これじゃあテストを切り抜けられそうにない。

    「なーんか難しい内容だったッスねぇ。ユウくんはどうだった?」
    「えっ?!あ…その…。」

    隣を歩くラギー先輩が、両手を頭の後ろに組みながら話しかけてくる。
    その耳はぺたんと伏せられていて、やれやれといった表情だった。
    私は、まさかラギー先輩が気になって集中できませんでした、なんて言えるわけもなく。
    バッチリでした!…なんてウソもつけるわけもなく。

    「分からなかった…です。」

    と小さく言うのが精一杯で。
    まずはちゃんと自分でやってみて、と言われたのにこんな結果になってしまって。
    申し訳ない気持ちと、怒られてしまうのではないかという気持ちから、視線をそらしてうつむいてしまう。
    コツコツと廊下を歩く足音がやけに響いて聞こえた。

    「じゃあ一緒に復習しよ?」
    「え?」

    ラギー先輩の方を向けば、いつもの優しい笑顔でこちらを見ていて。

    「い、いいんですか?!」

    都合よく空耳が聞こえたのではないかと思い、勢いよく聞き返してしまう。
    ラギー先輩はそれに驚いたのか、ぱちぱちとまばたきをして立ち止まり。
    私もつられて立ち止まると、不意にラギー先輩が近づいてきて。

    「困ったときはお互いさま、でしょ?それに。」

    …悪い子にはおしおきも必要ッスよね?

    と、耳元でささやかれた。
    私はびっくりして一歩下がり、耳を押さえる。
    その拍子に手元からペンが落ちてしまい、カランっと音を立てた。

    「あーでも…今日は昼はバイトがあるし、授業終わってから部活もあるんで…。」

    私が拾おうとするよりも先に、ラギー先輩は話しながらゆっくりとペンを拾って、ほいっと私の目の前に出す。
    お礼を言ってペンを受け取ろうと手を差し出すと、そのまま包まれるようにぎゅっと握られて。

    「夜、オンボロ寮に行くから、よろしく。」

    ニヤリと、それはもういじわるに笑った。
    かぁっと頬が熱くなって、早く手を離して欲しくて引っぱる。
    が、ラギー先輩はあえてなのか全然離してくれない。
    そればかりか。

    「もしかしたら、徹夜になっちまうかもしれないッスねぇ?」
    「なっ……!!!」
    「あれあれー?ユウくん何を想像してるんスか?…オレはお勉強しよ、って言ってるだけッスよ?」
    「……っ!!!」

    なんていう爆弾を落としてくれるんだろう。
    これじゃあ…残りの時間も気が気ではなくなってしまう…。
    あたふたとする私に、いつの間にか遠くへ行っていたグリムから声がかかる。

    「おーい!子分ー!!次は実践魔法なんだゾ!早く行くんだゾ!」
    「ま、待ってよグリム!置いていかないでー!」

    ぴゅーっという効果音がつきそうなくらいの勢いでグリムの姿が見えなくなる。
    そっちに気を取られていると、少し不機嫌そうにくいっと手を引かれる。
    が、ラギー先輩の方を見ると、それはもうにっこりと笑いかけられて。

    「じゃあ、オレはこっちだから。残りの授業も、ちゃあんとマジメに受けるんスよ。…徹夜になりたくなかったら、ね?」

    ラギー先輩はするっと撫でるように手を離すと、そのまま行ってしまった。
    私はまだラギー先輩の感触と熱が残っているような手を見つめて、またドキドキしてしまう。
    さらに授業中の真剣な表情までフラッシュバックして…。

    「あ…ペン!どこ………っ!!!」

    そういえば落としたペンはどこに行ったんだろう?と思ったら…ちゃんと胸のポケットにささっていた。
    …一体いつの間に。
    私はひとつ、大きなため息をついて、急いでグリムの後を追いかけた。


    この後の授業がちゃんと集中できたかどうか、なんて。
    それは…もう…。
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