Good Night, My Darlin' 出身と育ちのせいで普段から眠りが浅いせいか、寝起きは悪くなかった。上体を起こしたらトレーニングルームに向かう。それが151という男のモーニングルーティンのようなものになっている。
——そう、「普段」は。
今朝はやけに瞼が重く感じる。眠りが浅いからといって寝坊気味なわけでもなく、夜更かしもしていないはずだったが。気のせいかもしれないが、物凄く身体が熱っぽく怠いような。生憎151は健康体そのものなので、多少の体調不良があったとしても自分の中の根性論で何とかなってしまうものもある。だからこそ、意思の力を持ってしても起き上がれないこの現状は一体どういうことだ。
「ん〜、ねみ……」
いい歳した大人の男が情けない声を出しながら寝返りを打つ光景は随分異様だ。
こん、こん。ガチャリ。
自室のドアのノックと、戸が開く音がして片耳だけ動かして気配を探る。この無機質な足音は13だ。愛おしい男のモーニングコールは嬉しいが、すげェねみィ。151は再び目を閉じた。
ベッドの目の前まで足音がしたかと思うと、ぎし、とベッドのスプリングが軋む音とともに頭を撫でられた。
「起きているか、151」
「ん〜〜」
「……仕方ない」
「ん、…ぉ、おぉ……?」
掛け布団を捲られて外気が流れ込んでくる。そこからすぐ男の体温が入ってきて、どうやらオレの布団に潜り込んできたようだった。後ろから抱き込まれていると、情事後を思い出してしまうが、眠気が圧倒的に勝っているせいでそんな気分にも浸れない。耳に男の落ち着いた吐息がかかっているのをこそばゆいと感じていると、数分後には規則正しく深い寝息に変わっていた。
背後に感じる深海の眠りに誘われて、そこへ身を投げた。