怖い夢を見た。
天空の棺のなか、地面に横たわる爆豪から生きた気配が伝わってこない。ひゅっと喉が締まった。傍に落ちた黒く細い体が後輩のものだと気がついて内臓が押し潰されるような心地がする。
これは夢だとわかっているのに、染みついた血の匂いが濃くて。爆豪の命は紙原が繋いだ。紙原は戻ってきた。全てではないにしても命は繋がって、今もまだ共にある。そう頭では理解しているのに目の前の惨劇で揺らぐ。
手を伸ばして爆豪の肌に触れる。指先に触れる冷たさに驚いて放した。縋るように紙原の細い体に触れて、やはり生を感じなくて呆然とする。
はやく、はやく目を覚ましたい。こんなのはただの夢だ終わったことだ。現実は最悪ではなかったのに。
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