SHIZUKa_mojiTIRED六い久方ぶりに熱を出した。鍛練が足らん、と冷めた口調で額をなぞる手が気持ちいい。もっと触れて欲しくて、重い頭を浮かしすり寄ろうとしたが、こつん、と軽く小突かれるだけ。指の代わりに冷えた手拭いが乗せられるが物足りない。仕方がないと手を伸ばしてみると、目をまん丸にした間抜け面。「なんだ、その顔は」「いや……珍しく甘えてきたと思ってな」「甘えてなどいない」「はいはい」手を握られ、そのまま自分の頬と手で文次郎の指を挟む。程好く冷たいその心地よさから、素直に意識を手放した。 237 SHIZUKa_mojiMEMO留文メモに残ってたのでどこかに載せた再掲かもふと、思い立っただけだ。たまたま行列が出来る程の団子屋があって、気まぐれに並んでみて、並んだからと団子を買い、 持ち帰る途中で偶然お前を見付けたから、団子をやろうと思った。「それだけだ」「………………なるほど」「なんだその間は!?」「いや、お前も大概だと思ってな」鍛練帰りの鍛練馬鹿は秋風吹く中で汗を垂らしている。「素直に俺への土産だと言えよ。甘い物なんかそんな食わない癖に」「食わない事はない!一本くらい食う」「ならなんで包み三つもあんるんだ」「これは伊作達用。これは後輩達用」「もう一つは?」「あーもううるさい!食うのか!?食わねえのか!?」「食う」くつくつと笑い出されて気まずいが、まぁいい。包みを一つ押し付けて去ろうとすれば、何故か腕を捕まれた。「な……なんだよ」「実は、鍛練前にちょっといい茶葉を手に入れたんだ。団子の礼に飲みに来い」あまりしない子供っぽい笑みを浮かべながら、言葉に挑発を含んでいる。これは嬉しい誤算かもしれない。「ならちょっと遅い月見でもするか」「いいぜ。月見が出来ればの話しだが」「っ、なんだよ。珍しくやる気だな」「お前が誘った 801 1